贈与の取り消しがあった場合
【目次】
1.贈与の取り消しがあった場合
贈与を受けた財産について贈与税の申告をしたあと、その財産を返した場合、贈与税は返してもらうことができるでしょうか。
この場合、財産を返したとしても一旦納めた贈与税を還付してもらうことはできません。
贈与契約が取り消され、又は解除されるという場合には、法定取消権又は法定解除権によって取り消され、又は解除されるという場合のほかに、当事者の合意に基づいて取り消され、又は解除されるという場合もあります。例えば、娘婿となった者に対し贈与したものの、その後離婚することとなり、やっぱり返してくれというような場合があると思います。
これらについては次のように取り扱われます。
1-1.法定取消権等に基づいて贈与の取消し等があった場合
贈与契約が民法第96条詐欺又は強迫、民法第754条夫婦間の契約の取消権、未成年者の行為の取消権、履行遅滞による解除権その他の法定取消権又は法定解除権に基づいて取り消され又は解除され、その旨の申出があった場合においては、その取り消され又は解除されたことが、その財産の名義を元の所有者の名義に変更したことなどにより確認できる場合に限り、その贈与はなかったものとして取り扱われます。
1-2.当事者の合意解除により贈与の取消しがあった場合
贈与契約が当事者の合意によって取り消され、又は解除された場合においても、その贈与契約による財産については贈与税が課税されます。
しかし、当事者の合意による取消し又は解除が、次の要件のすべてに該当し、税務署長がその贈与契約に係る財産について贈与税を課税することにより、著しく負担の公平を害する結果となると認める場合に限り、その贈与はなかったものとして取り扱われます。
①贈与契約の取消し又は解除がその贈与に係る贈与税の法定申告期限までに行われ、かつ、その贈与に係る財産の名義を変更したこと等により確認できること
②贈与契約に係る財産が、受贈者によって処分されたり、担保物権その他の財産権の目的とされ又は差押えその他の処分の目的とされていないこと
③贈与契約に係る財産について、贈与者又は受贈者が譲渡所得又は非課税貯蓄等に関する所得税その他の租税の申告又は届出をしていないこと
④受贈者が贈与契約に係る財産の果実を収受していないこと、又は収受した果実を贈与者に引き渡していること
当事者の合意による取消し又は解除であった場合においては、上記(2)の①~④に掲げるすべての要件に該当しない限り贈与税が課税されます。
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