eBayがPayPalからManagedpaymentに切り替わることへの影響
東京都北区赤羽にある税金Lab税理士法人の税理士 鈴木です。
2021年からeBay輸出に大きな変化があります。
1.PayPalからManaged paymentへの移行
特に影響が大きいのが2021年6月後半からeBay売上を受けていたPayPalからManaged paymentへ移行されることです。PayPalはeBay事業から撤退することになりました。
PayPalからManaged paymentへの移行により、購入者からeBayに商品代金が支払われた後、eBayから出品者のPayoneer口座に入金がされ、紐付けている日本の銀行口座に出品者の入金するタイミングで引き出すという流れになります。
弊社ではマネーフォワードクラウド会計にPayPalを同期し、自動で円換算される輸出売上、PayPal手数料、eBay手数料(Selling Fee)、SalesTaxを仕訳していましたが、現状(2021年7月8日現在)ではPayoneer口座のマネーフォワードへの同期ができないため、今のところはebayよりTransactionデータのダウンロードし、CSVを集計のうえ当月や前月の平均為替レート(売上の為替レートは原則TTM、継続適用を条件にTTB)などを使い円換算のうえ仕訳することになりそうです。
Payoneerは、Paypalのようにお金が振り込まれる際に手数料が発生することはなく、Payoneerから自分の口座に引き出す際に2%の手数料がかかるようなので、Payoneer手数料も忘れずに認識するようにしましょう。
いままではeBay手数料がPaypal払いかクレカ払いでしたが、今後はすべて引かれた状態でPayoneerに入るということなのでeBay手数料の消費税還付もれにご留意ください。
2.eBayの管理会計
「管理会計」とは、自社の経営に活用するため、社内向けの会計のことです。株主や取引金融機関など社外の利害関係者に提出する「財務会計」とは異なり、経営判断に活用するために役立てられます。
弊社ではeBayセラーの管理会計による予実管理、原価管理、経営分析、資金繰り管理を推奨しております。
管理会計では「限界利益」が重視されます。
限界利益とは、売上高と変動費の差のことで、損益分岐点の分析時に出てくる、全ての固定費を回収できる地点を示す管理会計上の指標のことをいいます。
eBayにおける限界利益は売上(SalesTax込) - 仕入 - eBay手数料(Final value fees、Promoted listings fees、International fees) - PayPal手数料(今後はPayoneer手数料) - SalesTax で計算できます。そのほか運賃なども変動費として捉えることもできます。
限界利益が計算できればいくらまで役員報酬を支給することができるか、借入金の元本返済の限度額はいくらか、など色々分析することができますのでぜひeBay輸出をされているセラーの方は管理会計を導入してみることをおすすめいたします。
3.VATの取り扱いの変更
2021年7月1日からEU内においてVATに関する取り扱いが変更となりました。
eBayでの商品販売金額が150ユーロ以下の金額においてはeBayが強制的に購入者からVATを徴収します。購入者がVAT支払い済みという状態なのでEU内に商品を発送する場合には、IOSS番号を発送ラベルに表示することになります。
IOSSはImport One-Stop Shopの略でより輸入関税プロセスをスムーズに行うための番号のことです。
eBayなどのECプラットフォームが購入者から事前にVATを徴収することにより購入者が輸入時に関税を請求されないという新しいEUの徴収の仕組みで、IOSS番号は既にVATを納付済みという証明になります。
eBayのIOSS番号はIM2760000742です。
eBayのOrder Detailsのページにて購入者の住所の部分においてIOSS番号を確認できます。
eBayでの商品販売価格が150ユーロ以下の商品でEU内に売れた注文にはIOSSをラベルに記載しないで発送すると購入者はすでにeBayからVATを徴収されたにも関わらず、再度通関時にVATを徴収され2重で請求される可能性がでてくるのでご留意ください。
150ユーロ以上のeBayでの商品の販売の場合は、IOSSを共有する必要がなく、通常通り購入者が輸入時にVATを支払います。
eBay輸出販売で消費税還付をお悩みの方などはぜひご相談ください。