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負担付贈与とは


【目次】

1.負担付贈与とは

不動産を贈与する場合、不動産の入居者から預かっている敷金や保証金も合わせて贈与することが普通です。

建物の贈与を受けるかわりに保証金の返還という債務を負担するというような贈与契約を「負担付贈与」といい、税務上、負担付贈与により取得した贈与財産の価額は、負担がないものとした場合におけるその贈与財産価額から、その負担額を控除した価額、つまり、実際に受贈者の享受する利益の額(贈与財産と負担額の差額に相当する金額)によることとされています。

なお、土地等及び家屋等の負担付贈与の場合の贈与財産価額は、相続税評価額ではなく、通常の取引価額に相当する金額、すなわち「時価」とされています。

土地の相続税評価額は、路線価方式で計算する土地の場合には、路線価評価となりますが、負担付贈与の場合には時価により計算することとなっていますので、この路線価評価額を1.25倍した公示価格水準により贈与税を計算することとなります。

例えば路線価評価額1000万円(時価1250万円)の土地(敷金300万円とします。)を負担付贈与により取得した場合の贈与財産の価額は、 1,250万円から負担すべき債務の額300万円を控除した950万円となります。

一方、贈与をした人は、建物を贈与することにより、 300万円の債務の返済をしなくてもよいことになるわけですから、実質的には300万円の経済的利益(対価)を得たことになり、建物を300万円で譲渡して債務を返済したのと同じ結果が生じることになります。

したがって、贈与をした人は300万円の譲渡収入金額から取得費等を差し引いて残額があれぱ譲渡所得が課税されることになります。
この場合、不動産をもらった人が不動産をあげる人から建物(賃貸アパート)の贈与と同時に賃借人に返還すべき預り保証金に相当する現金を受け取った場合には、実質的に不動産をもらった人の負担すべき債務はないと考えますので、「負担付贈与」には該当しないものとして取り扱うこととされています。

したがって、この場合の贈与財産の価額は、通常の贈与の場合と同様に、建物(賃貸アパート)の相続税評価額(1,000万円)となり、不動産をあげる人に対する讓渡所得の課税関係が生じることもありません。

不動産の贈与に伴い敷金を贈与する場合、

①敷金と同額の現金を贈与することにより、相続税評価額により贈与することができます。

②敷金と同額の現金を贈与することにより、不動産をあげた人に対して譲渡所得がかかりません。

【参考】
上場株式について負担付贈与があった場合の贈与財産の価額は、課税時期の属する月以前3か月間の株価変動のしんしゃくは行わず、課税時期の最終価格により評価することとされています。

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