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基準期間における課税売上高 消費税の仕組み
【目次】
基準期間における課税売上高が1,000万円を超える事業者については、その課税期間の納税義務は免除されません。
この場合、あくまでも基準期間中の売上規模によって納税義務の有無を判断しますから、当課税期間中の売上規模は、この納税義務の有無の判断に全く影響しません。
1.基準期間
個人事業者については前々年、法人については原則として前々事業年度が基準期間となります。
消費税は、あらかじめ販売代金などへの税の転嫁を予定している税金ですから、期首の段階で課税事業者なのか免税事業者なのかを認識しておく必要がありますので、当課税期間を基準期間とすることはできません。
また、前課税期間についても、税を転嫁するための準備期間を考慮して基準期間とすることはありません。
(注) 法人の前々事業年度が1 年でない場合
法人の前々事業年度が1 年でない場合には、「その事業年度開始の日の2年前の応当日から同日以後1 年を経過する日までの間に開始した各事業年度を合わせた期間」が基準期間となります。
したがって、事業年度変更を行って1年未満の事業年度が発生するような場合には、その基準期間の考え方に注意が必要です。免税事業者だと思っていたら、課税事業者だったということのないようにしましょう。
2.基準期間における課税売上高
① 計算方法
基準期間が1 年でない場合、基準期間における課税売上高の算定上は、その課税売上高( 税抜) を年換算しますので注意する必要があります。
【基準期間における課税売上高の計算】
基準期間が1年の場合……基準期間中の税抜課税売上高
基準期間が1年でない場合……基準期間中の税抜課税売上高 ×12/基準期間の月数
(注) 月数は暦に従って計算し、1 カ月未満の端数があるときはこれを1 カ月として計算します。たとえば、基準期間が4 月10日から11月30日までの場合、月数は8カ月として計算します。
② 計算上の留意点
(イ) 免税売上高
免税売上げは課税取引のうち一定の取引であり、基準期間における課税売上高に含まれることになります。
一方、課税対象外収入( 不課税取引) や非課税売上げは課税取引ではありませんので、基準期間における課税売上高に含める必要はありません。
(ロ) 税抜処理
基準期間における課税売上高は、税抜金額で算定します。
したがって、課税売上げについては税抜処理を行うことになりますが、免税売上げについては、もともと課税されておらず、その売上げに消費税が含まれていませんので、税抜処理を行うことはできません。つまり、税抜処理はできず税込金額で基準期間における課税売上高を算定し、課税事業者か免税事業者かの判定をすることとなるのです。
3.税率引き上げ時の留意点
税率引き上げ時において、基準期間における課税売上高を算定する場合には注意が必要です。
たとえば、平成26年4月1日から平成27年3月31日までを当課税期間とする3月決算法人の場合、その基準期間は平成24年4月1日から平成25年3月31日までとなります。
この場合、その基準期間は税率引き上げ前の期間ですから、課税売上高に100/108を乗ずるのではなく、100/105を乗ずることになります。
(ハ) 値引き、返品、割戻しなどの取扱い
基準期間における課税売上高は、売上げについての値引き、返品、割戻しがあった場合には、これらの金額を控除した後の純売上高で算定します。
したがって、課税売上げだけではなく、免税売上げについて、値引き、返品、割戻しがあった場合にも総売上高からこれらの金額を控除することになります。
なお、この場合、課税売上げに係る返還等の金額は税抜処理をしますが、免税売上げに係る返還等の金額については税抜処理はしません。
一方、売掛債権について貸倒損失が発生した場合や貸倒損失として処理した後に貸倒回収が発生したとしても、これらの金額については、売上げの調整項目ではありませんから、総売上高から控除又は総売上高に加算したりはしません。
(注) 税率引き上げ時の留意点
売上げについての返還等の金額を総売上高から控除する場合には、売上げとの期間対応を考える必要はありません。あくまでその返還等を行った日の属する課税期間の総売上高から控除することになります。
なお、総課税売上高から控除する課税売上げに係る返還等の金額について税抜処理をする場合、税率引き上げ後には注意する必要があります。
たとえば、平成26年3月31日以前の課税売上げについて、平成26年4月1日以後に開始した課税期間において返品が発生した場合には、税込返品高に100/108を乗ずるのではなく、100/105を乗じて税抜処理を行うことになります。
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