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特別障害者に対する贈与税の非課税
【目次】
1.特別障害者に対する贈与税の非課税の趣旨
特別障害者に対する贈与税の非課税制度は,特別障害者を受益者とする特別障害者扶養信託契約に基づき金銭,有価証券その他の財産が信託されたときには,その信託財産の相続税評価額のうち6,000万円までの部分を贈与税の非課税とするもので,特別障害者の生活の安定を図るために設けられたものです。
なお,信託方式を採用したのは、
①贈与された財産の利益が確実に障害者に交付されること
②その財産が,第三者により確実かつ安全に運用されること
③特別障害者の生活費等を賄うため,財産及びその運用益ができるだけ年々定額で交付されることが望ましいこと
等を考慮されたといわれています。
2.特別障害者に対する贈与税の非課税の内容
2-1.特別障害者に対する贈与税の非課税の概要
特別障害者が信託会社等の営業所等においてその者を受益者とする特別障害者扶養信託契約に基づいてその信託契約に係る財産の信託がされることによりその信託受益権を有することとなる場合において,その信託の際,障害者非課税信託申告書を納税地の所轄税務署長に提出したときは,その信託受益権でその価額のうち6,000万円までの金額については,贈与税の課税価格に算入しないという制度です。
2-2. 特別障害者に対する贈与税の非課税の適用要件及び対象者
この非課税制度は,特別障害者が信託会社その他の者で特定のもの(以下「受託者」といいます。)の営業所,事務所その他これらに準ずるもので法施行地(日本国内)にあるもの(以下「受託者の営業所等」といいます。)において特別障害者を受益者とする特別障害者扶養信託契約に基づいてその信託契約に係る財産の信託がされることによるその信託の利益を受ける権利(以下「信託受益権」といいます。)を有することとなる場合において,その信託の際,その信託受益権につきこの非課税の適用を受けようとする旨その他必要な事項を記載した申告書(以下「障害者非課税信託申告書」という。)を納税地の所轄税務署長に提出したとき
に,その特別障害者に対し適用があります。
2-3. 非課税金額
特別障害者の有することとなった信託受益権のうち贈与税の非課税財産とされる部分の金額は,その信託受益権の価額のうち6,000万円までの金額に相当する部分の価額です。
ただし,既に他の信託受益権について障害者非課税信託申告書を提出している場合においては6,000万円から既にこの非課税財産の適用を受けている信託受益権の価額を控除した金額が贈与税の非課税財産とされます。
2-4. 特別障害者扶養信託契約の意義
特別障害者扶養信託契約とは,個人が受託者と締結した金銭,有価証券その他の財産で次に掲げるものの信託に関する契約で,その個人以外の1人の特別障害者を信託の利益の全部についての受益者とするもののうち,その契約に基づく信託がその特別障害者の死亡後6月を経過する日に終了することとされていることその他一定の要件を備えたものをいいます。
①金銭
②有価証券
③金銭債権
④立木及びその立木の生立する士地(その立木とともに信託されるものに限ります。)
⑤継続的に相当の対価を得て他人に使用させる不動産
⑥特別障害者扶養信託契約に基づく信託の受益者である特別障害者の居住の用に供する不動産(その契約に基づいて上記①から⑤までの財産のいずれかとともに信託されるものに限ります)
2-5. 特別障害者扶養信託契約の要件
特別障害者扶養信託契約は,次に掲けるすべての要件に該当するものをいいます。
- その特別障害名扶養信託契約に基づく信託は,その契約の締結の際におけるその信託の受益者である特別障害者の死亡後6月を経過する日に終了することとされていること。
- その特別障害者扶養信託契約に,その契約に基づく信託は,取消し又は解除(その契約に係る特別障害者の死亡後,その特別障害者の債務でその契約においてその信'託に係る信託財産から弁済すべきこととされているものの介済が終了した後において,その特別障害者からの相続又は遺贈によりその信託に係る信託受益権を取得した者又はその信託の受益者により行われる解除を除く。)をすることができず,かつ,その信託の期間及びその信託に係る受益者は変更することができない旨の定めがあること。
- その特別障害名扶養信託契約に基づくその特別障害者に係る信託財産の交付に関する金銭(収益の分配を含む)の支払は,その特別障害者の生活又は医療の需要に応じるため,定期的に,かつ,その実際の必要に応じて適切に行'われることとされていること。
- その特別障害者扶養信託契約に基づき信託された財産の運用は,安定した収益の硫保を目的として適正に行われることとされているものであること。
- その特別障害者扶養信託契約に,その契約に基づく信託に係る信託受益権については,その譲渡に係る契約を締結し,又は,これを担保に供することができない旨の定めがあること。
2-6. 障害者非課税信託申告書の提出ができる場合
障害者非課税信託申告書には,受託者の営業所等のうちいずれか1つのものに限り記載することができるものとし,1つの障害者非課税信託申告書を提出した場合には,次の場合を除き,他の障害者非課税信託申告書は,提出することができません。
- その申告書に記載された受託者の営業所等において新たに特別障害者扶養信託契約に基づき信託される財産に係る信託受益権につき贈与税の非課税の適用を受けようとする場合
- 特別障害者の既に提出した障害者非課税信託申告書に係る特別障害者扶養信託契約に基づく信託係る信託受益権の価額のうち贈与税の非課税の適用を受けた部分の価額(その申告書が2以上提出されている場合には,これらの申告書に係るその適用を受けた部分の価額の合計額)が6,000万円に満たない場合において,その特別障害者が,その申告書に記載された受託者の営業所等においてその特別障害者扶養信託契約に基づき追加して信託される財産に係る信託受益権につき障害者非課税信託申告書を提出するとき又はその受託者の営業所等において新たな特別障害者扶養信託契約に基づき信託される財産に係る信託受益権につき障害者非課税信託申告書を提出するとき
2-7.障害者非課税信託申告書の記載事項及び提出
特別障害者に対する贈与税税の非課税の適用を受けようとする特別障害者は,その信託がされるごとに,所定の事項を記載した障害者非課税信託申告書にその申告書に係る障害者非課税扶養信託契約写しその他一定の書類を添付し,これをその申告書に記載した受託者の営業所等を経由し,その営業所等においてその契約に基づいてその信託がされる日までに,納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。
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