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1株当たりの純資産価額の計算の注意点~ソフトウェア


1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)を計算する場合において、評価会社の有する資産のうちに法人税法上の減価償却資産(無形固定資産)であるソフトウエアがあるときの評価方法について解説いたします。

目次

1株当たりの純資産価額の計算の注意点~ソフトウェア

ソフトウエアについては、財産的価値のある資産として取り扱いますので、株式評価明細書第5表の資産の部に、その帳簿価額及び相続税評価額を計上することとなります。

また、この場合における相続税評価額は、販売目的のソフトウエア及び自社利用のソフトウエアの区分に応じ、前者の価額は特許権又は著作権の評価方法により評価し、また、後者の価額は一般動産の評価方法に準じて評価します。

企業会計上、収益の獲得又は費用の削減が確実と認められる場合のソフトウエアの取得に要した贄用は、無形固定資産に計上することとされ、また、法人税法上においても、平成12年の税制改正において、高度化・大規模化しているソフトウエアの実態に鑑み、ソフトウエアの資産区分が繰延資産から減価償却資産へ変更されました。

このような資産区分の変更等を踏まえると、ソフトウエアの資産としての性格の変化が社
会的に認知されたものと認められるほか、ソフトウエアは譲渡又は賃貸することができることなどから、財産評価の観点からも評価対象となる資産として取り扱います。

また、ソフトウエアの具体的な評価方法に関して、複写して販売するための原本としてのソフトウエア(以下「販売目的のソフトゥエア」といいます。)は、権利者以外の者に実施させることにより収入を得ることができるという特質を有するものであり、一般的に、著作権又は特許権の使用許諾契約を締結することによって、その収入の額及び収入の実現期間を特定し得ることから、特許権の評価方法により評価します。

ただし、販売目的のソフトウエアが、例えば、それを複写したソフトウエア(汎用パッケージソフト等)を広く一般に販売することによって収入を得るものである場合には、その評価の基となる将来の収入の額及び収入見積もりが難しく、また、開発競争等が激しく時の経過とともに経済的に陳腐化することなどを考えると、著作権の評価方法に準じて評価するのが相当です。

ポイント
(注)ソフトゥエアは、プログラムの創作と同時に自動的に著作権が発生し、出願等の手続を行わなくても著作権法の保護を受けることができます。また、特許出願、審査請求等手続を行うことにより、特許権の登録を行うことも可能です

他方、販売目的のソフトウエア以外のものとして研究開発用のソフトウエア及びそれ以外のソフトウエア(これらをまとめて「自社利用のソフトウエア」といいます。)は、コンピュータに一定の仕事を行わせるためのプログラムであり、コンピュータと一体でないとソフトウエアを利用できないことなどを踏まえ、実態的にはコンピュータの部品の一部としての資産と考えます。

これに類似する資産としては、事業の用に供する機械及び装置、器具等の減価償却資産と認められることから、自社利用のソフトウエアは、一般動産の評価方法を準用して評価します。

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