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1株当たりの純資産価額の計算の注意点~未払配当金


1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)を計算する場合において、評価会社が仮決算を行う場合と行わない場合の直前期末から課税時期までの間に配当金の支払いがあった場合の評価方法について解説いたします。

目次

1株当たりの純資産価額の計算の注意点~仮決算を行う場合の未払配当金

配当金及び役員賞与の金額については、旧商法では、定時株主総会における利益処分案の決議を経て確定することとされていましたが、会社法にはこのような規定はありません。

そこで、配当金及び役員賞与の金額については、他の負債科目と同じく、課税時期において確定している金額のうち、未払いとなっている金額に限り、負債に計上することになります。

なお、課税時期が配当金交付の基準日の翌日から、配当金交付の効力が発生する日までの間にある場合には、配当金交付の効力が発生してぃませんので、その配当金は負債に計上できないので注意が必要です。
この場合配当期待権が発生しているので、株式の価額の修正を行う必要があります。

また、役員賞与が株主総会の決議事項である場合においても、課税時期がその株主総会前である場合には、役員賞与の支払いは確定していませんので、その役員賞与の金額は負債に計上できないことになります。


2.直前期末ベースで純資産価額を計算する場合の未払配当金

評価会社が課税時期において仮決算を行っていないため、課税時期における資産及び負債の金額が明確でない場合、直前期末から課税時期までの間に資産及び負債について著しく増減がないため評価額の計算に影響が少ないと認められるときは、直前期末の資産及び負債を基に、課税時期の純資産価額を計算してもいいことになっています。

会社法の施行により、各事業年度の決算に係る「利益処分」という概念はなくなったことから、この場合の配当金及び役員賞与の金額の取扱いについては、他の負債項目と同様、直前期末において確定している場合で未払いのものに限り負債に計上することになります。

直前期末の翌日から課税時期までの間に、配当金交付の効力が発生している場合には、その配当金が確定することにより、株式の価額が下落することが考えられますが、直前期末を基準とした場合には、その権利(配当金)を含んだ配当落前の価額となっていることになります。

ですから、直前期末の資産及び負債を基に評価する場合であっても、課税時期までの間に確定した配当金については負債を含めるべきであり、そのように取り扱うこととされています。

なお、課税時期が配当金交付の基準日の翌日から配当金交付の効力が発生する日までの間にある場合においては、配当期待権が発生していますので、株式の価額の修正を行うことが必要です。

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