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1株当たりの純資産価額の計算の注意点~生命保険関係


生命保険金を受け取った場合と生命保険契約に関する権利がある場合の一株当たりの純資産価額の評価方法について解説いたします。

目次

1.生命保険金を受け取った場合

一株当たりの純資産価額を計算する場合、被相続人が死亡事故だった場合に、会社に生命保険金が支払われる可能性があります。

相続人の死亡が保険事故だった場合に、評価会社が受け取った生命保険金は、保険事故発生によりその請求権が具体的に確定するものですので、1株あたりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)を計算する場合には、生命保険金請求権として資産「相続税評価額」及び「帳簿価額」)に計上することになりますので、お忘れにならないようにご注意ください。

この場合、生命保険金の掛金が資産に計上されているとき(保険積立金など)は、資産から除外します。

また、その保険金で退職金を支払うケースが多いと思います。
支払退職金を控除した後の保険差益について、法人税等が課されることになるときは、その法人税額等に相当する金額を 1株当たりの純資産価額の計算上負債として計上することができます。

なお、評価会社が仮決算を行っていないため、 1株当たりの純資産価額の計算を直前期末現在の資産及び負債を基として計算する場合における保険差益に対応する法人税額等は、この保険差益によって課税所得金額が算出される場合のその課税所得金額の法人税等相当額によっても計算することができます。

ですから生命保険金を原資として被相続人に係る死亡退職金が支払われた場合においては、その支払退職金を純資産価額の計算上負債として計上するとともに、支払退職金を控除した後の保険差益について課されることになる法人税額等についても負債とします。

計算式
(受取保険金額 - 保険積立金の額 - 退職金)×法人税等=受取保険金に課税される法人税等



2.生命保険契約に関する権利がある場合

1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)は、課税時期における評価会社のすべての資産について相続税評価額を求め、これを基に計算します。

生命保険契約については、その権利を評価しなくてはいけません。

したがって、相続開始の時において、まだ保険事故(共済事・故を含みます。)が発生していない生命保険契約に関する権利の価額は、相続開始の時においてその契約を解約するとした場合に支払われることとなる解約返戻金の額(解約返戻釡のほかに支払われることとなる前納保険料の金額、剰余金の分配額等がある場合にはこれらの金額を加算し、解約返戻金の知につき源泉徴収されるべき所得税の額に相当する金額がある場合には当該金額を減算した金額)によって評価することとなります。

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