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類似業種比準価額の1株当たりの配当金額Bの計算の注意点
事業年度に複数回の剰余金の配当がある場合、優先株式を発行している場合、株主優待利用券等による経済的利益相当額がある場合の配当金額の計算方法について解説いたします。
目次
1.事業年度に複数回の剰余金の配当がある場合
会社法の施行により、「配当」は、旧商法の各事業年度の決算で確定した「利益処分による配当」ではなく、「剰余金の配当」とされ、株主総会の決議があればいつでも何回でも株主に配当することができるようになりました。
これに伴い、類似業種比準方式の計算における「1株当たりの配当金額」は、「直前期末以前2年間における剰余金の配当金額」を基に計算することに変更されています。
また、会社法の規定による「配当」は、株主に対する利益の配当だけではなく、資本の払戻しも「剰余金の配当」に含めることとされたため、「1株当たりの配当金額」を計算する場合には、剰余金の配当のうち資本の払戻しに該当するものを除くこととなりました。
したがって、「1株当たりの配当金額」の計算に当たっては、上記のとおり、直前期末以前2年間に配当金交付の効力が発生した剰余金の配当金額の合計額を基として計算することになります。
2.優先株式を発行している場合
会社法の規定による配当優先株を発行している場合、その会社の普通株式を相続により取得した場合の「1株当たりの配当金額(B)」は、配当金額の合計額を発行済株式数で除した金額によるべきでしょうか、普通株式についての「1株当たりの配当金額(B)」によるべきかという疑問が生じます。
この場合、株式の種類ごとに「1株当たりの配当金額B」を計算することになります。
配当について優先・劣後のある株式を発行している会社の株式の株価については、配当金の多寡は、比準要素のうち「1株当たりの配当金額(B)」に影響しますので、「1株当たりの配当金額(B)」は、株式の種類ごとにその株式に係る実際の配当金により計算することになります。
3.株主優待利用券等による経済的利益相当額がある場合
株主優待利用券等については、株主優待利用券等の交付により供与される利益の内容が株主の保有株式数の多少に関係なく一律であったり、また、法人の利益の有無にかかわらず供与されるなど、株式又は出資に対する剰余金の配当とは認め難いとされていますので、課税上の弊害がない限り、評価会社の剰余金の配当金額に加算をする必要はありません。
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