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純資産価額方式の計算~評価差額に対する法人税額等


目次

1.純資産価額方式の計算~評価差額に対する法人税額等

評価差額に対する法人税額等に相当する金額とは、評価会社が課税時期において所有する各資産及び各負債を、評価通達の定めるところによってそれぞれ評価替えした相続税評価額の純資産価額から、帳簿価額による純資産価額を控除した後の金額を法人税法第92条(解散の場合の清算所得に対する法人税の課税標準)に規定する清算所得の金額とみなした場合に、その清算所得相当額に課されることとなる法人税等に相当する金額のことをいいます。

評価差額に対する法人税額等を計算する場合、次の点に注意が必要です。


1-1.現物出資等をした場合

評価会社の有する資産のなかに、現物出資若しくは合併により著しく低い額で受け入れた資産又は株式交換若しくは株式移転により著しく低い価額で受け入れた株式がある場合には、課税時期における相続税評価額による総資産価額の計算の基とした各資産の帳簿価額の合計額に、現物出資、合併、株式交換又は株式移転の時において現物出資等受入れ資産の相続税評価額から現物出資等受入れ資産の帳簿価額を控除した金額を加算することにより、現物出資等受入れ差額に対する法人税額等に相当する金額は控除しないこととなっています。

現物出資等受入れ差額=現物出資等の時の価額(相続税評価額)-受入れ価額(帳簿価額)

なお、現物出資等受入れ差額は、現物出資、合併、株式交換又は株式移転の時において、現物出資等受入れ資産の相続税評価額が課税時期における現物出資等受入れ資産の相続税評価額を上回る場合には、課税時期における現物出資等受入れ資産の相続税評価額から現物出資等受入れ資産の帳簿価額を控除した金額となります。

現物出資等受入れ差額=課税時期における相続税評価額-受入れ価額(帳簿価額)

また、現物出資等受入れ資産が合併により著しく低い価額で受け入れた資産である場合で、合併のとき又は課税時期においてその合併受入れ資産を評価通達に定めるところにより評価した価額が、合併受入れ資産に係る被合併会社の帳簿価額を上回るときにおけるその「現物出資等受入れ差額」は、被合併会社の帳簿価額から評価会社の帳簿価額を控除した金額とするものとされています。

これは、仮に法人の合併がなく、被合併会社がその合併受入れ資産を継続的に保有していたならば、その被合併会社の帳簿価額と課税時期の時価との差額が通常発生する評価金額(法人税等控除が認められるべきもの)と考えられるからです。

現物出資等受入れ差額=被合併会社の帳節価額-評価会社の帳簿価額

課税時期における評価会社の総資産価額(相続税評価額)に占める現物出資等受入れ資産の価額の合計額の割合が20%以下である場合には、現物出資等受入れ差額に対する法人税額等に相当する金額を控除することができることとされています。



1-2.評価会社が取引相場のない株式を所有している場合

評価会社が取引相場のない株式を所有している場合において、その所有する取引相場のない株式を評価通達の定めにしたがって純資産価額(相続税評価額)により算定するときには、その取引相場のない株式の発行会社の資産の評価差額に対する法人税額等に相当する金額の控除はしないで計算することとされています。

これは、純資産価額方式における法人税額等相当額の控除は、個人が資産を直接所有している場合と株式により間接的に所有している場合とを考慮して控除されるもので、経済的合理性のない行為等により恣意的に価額(相続税評価額)を圧縮している場合までも、その圧縮額に対応する法人税額等相当額の控除を行うことは適当でないことによるものであること、また、評価会社が取引相場のない株式を所有している場合には、その保有株式の純資産価額を計算する場合、法人税額等相当額の控除をさらに重ねて控除する必要はないものと考えられるからです。

なお、評価差額に対する法人税額等相当額を求める場合の割合は、清算所得に対する法人税、事業税、道府県民税及び市町村民税の税率の合計に相当する割合とされています。

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