トップ > 相続の教科書 > 財産の評価 > 貸宅地の評価~区分地上権の目的となっている宅地
貸宅地の評価~区分地上権の目的となっている宅地
目次
1.貸宅地の評価方法
財産評価評価基本通達には土地の上に存する権利のうち、宅地の上に存する権利としては、普通借地権、定期借地権等、地上権、区分地上権及び区分地上権に準ずる地役権の5種類を定めています。
これらの権利が設定されている宅地については、これらの権利の価額に相当する価額の減価が生じているという考え方から、その宅地の自用地の価額から設定されている権利の価額を控除して評価することになります。(権利が設定されていない宅地=自用地評価額よりは評価額が低くなります。)
借地権、地上権等の目的となっている宅地(貸宅地といいます。)の価額は、その宅地の自用地価額から借地権の価額,地上権等の価額を控除した価額です。
計算式
自用地価額-土地の上に存する権利の価額=貸宅地の価額
2.区分地上権の目的となっている宅地
区分地上権の目的となっている宅地の価額は、次の方法により評価します。
自用地価額-区分地上権の価額=貸宅地の価額
3.区分地上権の評価方法とは
民法の規定により設定される区分地上権は、建物、トンネル、道路、橋梁等の所有を目的とし、土地の一定層だけを客体として設定されるものです。
この区分地上権の設定により設置される工作物として、トンネル、地下鉄、高架道路、モノレール、橋梁などがあり、この区分地上権の設定に際しては国土交通省が中心となって設けている機関が定めた「公共用地の取得に伴う損失補償基準細則」別記2 (土地利用制限率算定要領)に定める土地利用制限率を基として補償金が支払われています。
区分地上権の価額は自用地価額にこの土地利用制限率を基として次のように評価します。
3-1.原則
その区分地上権の目的となっている宅地の自用地価額に、その区分地上権の区分地上権
設定内容に応じた土地利用制限率を基とした割合(区分地上権の割合といいます。)を乗じて計算します。
自用地価額×区分地上権の割合=区分地上権の価額
3-2.地下鉄等のトンネルの所有を目的として設定した区分地上権
地下鉄等の隱道の所有を目的として設定した区分地上権を評価する場合の区分地上権の割合は、土地利用制限率に代えて100分の30とすることができます。
自用地価額×30%=地下鉄等の隱道の所有を目的とする区分地上権の価額
区分地上権が1画地の一部分に設定されているときは、「その区分地上権の目的となっている宅地の自用地価額」は、その1画地全体ではなく、その1画地の宅地の自用地価額のうちその区分地上権が設定されている部分の地積に対応する価額となります。