トップ > 相続の教科書 > 財産の評価 > 貸宅地の評価~定期借地権の目的となっている宅地
貸宅地の評価~定期借地権の目的となっている宅地
目次
1.貸宅地の評価方法
財産評価評価基本通達には土地の上に存する権利のうち、宅地の上に存する権利としては、普通借地権、定期借地権等、地上権、区分地上権及び区分地上権に準ずる地役権の5種類を定めています。
これらの権利が設定されている宅地については、これらの権利の価額に相当する価額の減価が生じているという考え方から、その宅地の自用地の価額から設定されている権利の価額を控除して評価することになります。(権利が設定されていない宅地=自用地評価額よりは評価額が低くなります。)
借地権、地上権等の目的となっている宅地(貸宅地といいます。)の価額は、その宅地の自用地価額から借地権の価額,地上権等の価額を控除した価額です。
計算式
自用地価額-土地の上に存する権利の価額=貸宅地の価額
2.定期借地権の目的となっている宅地
定期借地権の目的となっている宅地の価額は、次の区分に応じ評価します。
2-1.事業用借地権、建物譲渡特約付定期借地権,普通借地権割合が90%、80%及び無指定の地域に所在する一般定期借地権に係る宅地の場合
(A)その宅地の自用地価額-原則計算による定期借地権等の価額
(B)その宅地の自用地価額× (1-次に掲げる法定評価割合)
残存期間が5年以下 5%
残存期間が5年超10年以 10%
残存期間が10年超15年以下 15%
残存期間が15年超 20%
(C)(A)と(B)のうちいずれか低い金額
2-2. 一般定期借地権で普通借地権割合が70%から30%の地域に所在する宅地の場合
自用地価額-(自用地価額×(1-底地の割合)×一般定期借地権の逓減率)=底地の評価額
2-3.定期借地権等の設定時に保証金等の授受がある場合の相続税の課税価格計算上の債務の額
定期借地権等の設定に際して保証金等の授受がある場合、相続税の課税価格の計算上、その保証金等は借地人にとってはその支払保証金が債権の額となり、一方地主にとってはその預り保証金が債務となります。
この場合の地主の債務額は、借地権者に帰属する経済的利益の額の計算との関係から次の算式により計算します。
保証金等の額×課税時期における定期借地権の残存年数に応ずる基準年利率の複利現価率+保証金等の額×約定利率×課税時期における定期借地権の残存年数に応ずる基準年利率の複利年金現価率