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セットバックを必要とする宅地の評価
目次
1.セットバックを必要とする宅地とは
都市計画区域内にある建築基準法第42条第2項の道路に面する宅地は、その道路の中心線から左右に2メートルずつ後退した線が道路の境界線とみなされ、将来建物の建替え等(増築、改築、大規模の修繕及び大規模の模様替えを含む。)を行う場合には、その境界線まで後退(セットバック)して道路敷きとして提供しなければならないことになっています。このような宅地をセットバックを必要とする宅地といいます。
2.3割を控除する
セットバックを必要とする宅地は、現在の利用には特に支障がなくても、セットバックを要しない宅地の価額に比較して低くなりますので、セットバックを必要とする部分については、私道と比較すると、現にセットバックをしていない限り宅地として利用されていますので、少なくとも私道の価値率(30%)を下回ることはありません。
そこで、セットバックを必要とする部分については7割を控除し、価値率を 3割とします。
算式は以下のとおりです。
自用地価額-自用地価額×道路敷として提供する地積÷宅地の総地積×0.7=評価額
3.宅地比準方式により評価する市街地農地等
評価対象地が宅地比準方式により評価することとされる市街地農地等の場合、宅地の価額を基として評価します。
セットバックを必要とする農地を宅地として使用する場合には、セットバックすることが建築条件となることから宅地比準方式により市街地農地等を評価する場合にもこの考え方を準用します。
4.セットバックした後私道になる場合
セットバックした後の宅地の評価では、そのセットバック部分の土地の所有権を有していても宅地として家屋を建築することはできませんので、私道となりその自用地価額の30%で評価します。
ただし、セットバックした後にそのセットバック部分が不特定多数の通行の用に供されている場合には評価しません。