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相続税がかかる財産の概要
相続税の課税対象となる財産について解説しています。
目次
1.相続税の課税対象となる財産とは
相続税は、相続又は遺贈により財産を取得した者に対し、その取得した財産を課税物件とし、その財産の価額を課税標準として課せられます。
相続税の課税対象となる財産は、原則民法の規定による相続又は遺贈により取得した財産(本来の取得財産)です。
このほか課税対象となる財産は、本来の取得財産に該当しない財産(被相続人の死亡を原因として取得した本来の取得財産以外の財産)についても税負担の公平を図るため、その財産の実質的財産利益に着目して相続又は遺贈により取得したものとみなして相続税の課税財産としていみなし相続財産、みなし遺贈財産がというものがあります。
2.相続税がかかる財産の具体的な内容
相続税法では「財産」について特別の規定はありません。
ですから、財産については民法その他の法律で特別の定めのある場合のほかは、社会通念によって決められているものに従います。
一般的に財産とは、経済的価値のあるすべてのものを総称します。
経済的価値とは何かというと、金銭に替えることができる、つまり換価性があるかどうかということです。
換価性があれば、債権のような権利であろうと、営業権のような無体財産であっても、すべて財産として認められます。
そして財産の種類はたくさんありますが、考え方としては個人が取得した財産が課税の対象となるのは、財産それ自体に経済的価値があり、一般に取引されているからなのです。
相続税法基本通達では「財産」とは金銭に見積もることができる経済的価値のあるすべてのものをいうとしています。
ですから、財産には、単に物権・債権及び無体財産権だけではなく、信託受益権、電話加入権等も含まれますし、また法律上の根拠を有しないものであっても経済的価値が認められる営業権のようなものも含まれます。
しかし、質権、抵当権又は地役権のように従たる権利は、主たる権利の価値を担保し、又は増加させるものであって、独立した財産は構成しないことになっています。
相続税の課税対象となる財産は、被相続人の所有していた財産をいい、その名義の如何を問いませんので、被相続人本人が出資又は支出して獲得した財産のうち相続開始の時において存するものすべてが対象となります。
例えば、下記のようなものも被相続人の財産となります。
- 相続開始の直前に購入した不動産で引渡し済みのもののうち代金の全額の決済がされていないもの
- 上記の不動産で資金決済後所有権移転の登記が終わっていないもの
- 相続開始の直前に購入した株式や公社債で名義変更が終わっていないのもの
- 所得税の非課税所得の基因となる預貯金、公社偵、貸付信託及び公社債投資信託の受益証券
- 被相続人の資金により預け入れられた預貯金、購入した株式等の有価証券その他の財産で家族名義や第三者の名義のもの又は無記名のもの
また、財産は一般的に積極財産と消極財産とに分類され、民法の被相続人の財産に属した一切の権利義務は、この積極財産と消極財産を併せて財産としています。
相続税法においては、積極財産は財産、消極財産は債務という形で規定され、取得財産について課税価格に算入すべき価額は、その財産の価額から債務の金額を控除した金額によります。