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生命保険金等はみなし相続財産であり、相続財産となる
生命保険金等は相続税法上みなし相続財産であり、相続財産となります。
目次
1.みなし相続又は遺贈財産は相続税がかかる
相続税がかかる財産は、原則本来の財産のみです。本来の財産以外で相続税がかかる財産には、相続又は遺贈により取得したものとみなされる財産があります。
なぜみなし相続又は遺贈財産が相続税がかかる課税財産なのでしょうか。
被相続人(遺贈者を含む)の死亡を原因として取得した財産が被相続人の財産に該当しない場合でも財産取得者にとってそれが本来の取得財産と同様の利得や経済的利益をもたらすときは、相続税法では遺産取得課税方式との関係も含めて課税の公平からその財産を相続又は遺贈により取得したものとみなして相続税の課税財産としています。
2.相続又は遺贈により取得したものとみなされる財産とは
相続税法では、生命保険金など次の財産を取得した場合は、これらの財産を取得した者が相続人(相続を放棄した者及び相続権を失った者を含みません。)であるときは相続により取得したものとみなし、その者が相続人以外の者であるときは遺贈により取得したものとみなして相続税の課税財産となります。
1.生命保険金等
2.退職手当金等
3.生命保険契約に関する権利
4.定期金に関する権利
5.保証期間付定期金に関する権利
6.契約に基づかない定期金に関する権利
7.贈与税の納税猶予に係る農地等
上記の財産は相続により取得したものとみなす場合と、遺贈により取得したものとみなす区分は、これらの財産の取得者が相続人であるかどうかによります。
3.相続を放棄した者とは
相続を放棄した者とは、民法第915条(承認、・放棄をなすべき期間)から第917条(承認・放棄をなすべき期間)までに規定する機関内に同法第938条(放棄の方式)の規定により家庭裁判所に申述して相続の放棄をした者(同法第919条第2項(承認・放棄の取消し)の規定により放棄の取消しをした者を除く)だけをいいますので、正式に放棄の手続をとらないで事実上相続により財産を取得しなかった場合は含まれません。
4.相続権を失った者とは
相続権を失った者とは、民法第891条(相続人の欠格事由)の各号に掲げる者並びに推定相続人の廃除、遺言による廃除の規定による推定相続人の廃除の請求に基づき相続権を失った者(廃除の取消しの規定により廃除の取消しのあった者を除きます)だけをいいます。
相続を放棄した者、相続権を失った者が上記1から6の財産を取得した場合、すべて遺贈により取得したものとみなされ、相続により取得したものとはみなされません。
なお、相続の放棄があった場合、その効力は本来の相続財産の取得ができないだけでありみなし財産の取得の放棄とはなりませんので、相続の放棄をした者でも生命保険金などを取得することができます。
また、相続権を失った者も、被相続人の相続人としての地位を剥奪するだけであって、生命保険金等を取得することができます。
5.相続人にだけ適用があるもの
相続税の計算上、下記の規定は相続人にだけ適用があります。
1.生命保険金の非課税規定
2.退職手当金の非課税規定
3.債務控除
4.相次相続控除
5.立木の評価
6.個人立幼稚園等の教育用財産の非課税
7.相続税の納税猶予
6.遺贈により取得したものとみなされる財産
遺贈により取得したものとみなされる財産とは、特別縁故者への相続財産の分与の規定により相続財産の全部又は一部を与えられた場合におけるその分与財産をいいます。
7.贈与又は遺贈により取得したものとみなされる財産
贈与又は遺贈により取得したものとみなされる財産とは、下記のものをいいます。
1.信託受益権
2.低額讓受けによる利益
3.債務の免除、引受け又は第三者のためにする債務の弁済による利益
4.その他の利益の享受
5.特別の法人から受ける利益