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相続・遺贈により取得したものとみなされる生命保険金等の保険金受取人とは
相続・遺贈により取得したものとみなされる生命保険金等の保険金受取人とは誰かについて解説いたします。
目次
1.相続・遺贈により取得したものとみなされる生命保険金等の保険金受取人とは
生命保険金等は相続時には相続又は遺贈により取得したものとみなされますが、この場合の保険金受取人とは誰のことを指すのでしょうか。
この場合の保険金受取人とは、その保険契約に係る保険約款等の規定に基づいて保険事故の発生により保険金を受け取る権利を有する者をいい、保険契約者により指定された者がいる場合にはその指定受取人をいい、指定受取人がないときには、商法、簡易生命保険法、保険約款等の定めにより判断されます。
例えば、被相続人が保険金受取人となっている場合、被相続人の死亡を保険事故とするものについて指定受取人がいないときには、団体定期普通保険約款では被保険者の配偶者、子、父母、祖父母、兄弟姉妹の順位により保険金受取人となり、また簡易生命保険法では被保険者の遺族が保険金受取人とされます。
この保険金受取人は、保険証券に記載されている保険金受取人と実際に保険金を取得した者が異なる場合があります。
このため相続税法では「保険金受取人」とは保険証券に記載されている形式的な名義人をいうのか、それとも名義人にこだわらないで実質的な受取人をいうのかが問題となります。
大阪高裁では「保険金受取人は、保険契約によって決定された契約上(ただし名義人という趣旨ではない)の受取人をいうのであるが、保険契約上殊に保険証券等の文書上に受取人として記載された者、即ち名義人が常に上記法条の受取人に該当するものと解することはできず、名義人が形式的便宜的に指定されたに過ぎないような場合は、すでに当該保険契約上、保険者との関係においても、実質的な契約上の受取人は右名義人とは別人である。」とする判示を受け、保険契約者の保険金受取人以外の者が現実に保険金を取得している場合、保険金受取人の変更の手続がなされていなかったことについて下記のようなやむを得ない事情がある場合、現実に保険金を取得した者がその保険金を取得することについて相当な理由があるときは、その者を保険金受取人とすることとしています。
- 夫が独身時代に夫の母を保険金受取人とする生命保険契約を締結し、その後結婚していた場合、保険金受取人の妻への変更を失念したまま夫が死亡し、その保険金を妻が現実に取得し、妻がその保険金を受け取るべきものであったとして、相続税の申告があったとき。
- 被相続人が取引先に対する債務の担保として、取引先を保険金受取人とする生命保険契約を締結していた場合で、被相続人の死亡により保険会社から支払われた保険金が取引先に対する債務に充当され、その債務の金額を超える部分の金額を相続人が取得しており、保険会社から支払われた保険金の全部を保険金として相続人が取得したものとし、取引先に対する債務を偵務控除の対象となる債務として相続税の申告があったとき。
被相続人の死亡を原因として死亡保険金が支払われる場合で、保険金受取人として指定されていた者が既に死亡し、その死亡後保険金受取人の変更が行われていないときは、その保険金は保険金受取人であった者の相続人が保険金受取人として取得することとなります。
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