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1株当たりの純資産価額の計算の注意点~増資があった場合


1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)を計算する場合において、直前期末から課税時期までの間に増資があった場合の株価算定について解説いたします。

目次

1.増資があった場合

1株当たりの純資産価額を計算する場合に、評価会社が直前期末から課税時期までの間に増資を行っている場合があります。

実務上は仮決算を行わず、直前期末の決算にもとづき純資産価額方式を計算することが多いのですが、増資があったことにより資産及び負債について著しい増減があったとして、直前期末の決算に基づく資産及び負債によって計算することはできないことになるのでしょうか。

1株当たりの純資産価額を計算する場合には、原則として課税時期において評価会社が有する各資産及び各負債に基づいて計算することとなりますが、直前期末から課税時期までの問に資産及び負債について著しい増減がないため評価額の計算に影響が少ないと認められるときは、直前期末の資産及び負債に基づいて計算してもいいこととなっています。

増資によって資産が増加しますが、その他の資産及び負債について、著しい増減がないときは、直前期末の資産及び負債を基に計算価額に、増資によって払い込まれた増資払込金額を加算して純資産価額を求めても問題ないものと考えられます。

なお、 1株当たりの純資産価額は、増資後の発行済株式数によって除して計算することになります。


2.課税時期が直後期末に近い場合

1株当たりの純資産価額は、原則として、評価会社の課税時期における各資産及び負債の金都について評価通達の定めによって評価した価額を基として計算しますが、直前期末から課税時期までの問に資産及び負債の金額について著しく増減がないと認められる場合には、直前期末現在の資産及び負債の金額を対象として評価しても差し支えないことになっています。

課税時期が直後期末に非常に近く、課税時期から直後期末までの間に資産及び負債の金額について著しく増減がないと認められる場合には、財産・債務について経理操作を行っているなどの課税上弊害がある場合を除き、直後期末の各資産及び負債の金額を課税時期における各資産及び負債の金額として計算しても問題ないものと考えます。

なお、評価会社の類似業種比準価額の計算については、たとえ課税時期が直前期末よりも直後期末の方が非常に近い場合であっても必ず直前期末を用いて計算しますので、ご注意ください。

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