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比準要素数1の会社の株式


目次

1.比準要素数1の会社の株式

類似業種比準方式は、評価会社の直前期末等を基とした1株当たりの

  • 配当金額
  • 利益金額
  • 純資産価額(帳簿価額によって計算した価額)

の3つの要素(これを「配当金額等」といいます。)について、これに外形的な事業内容だけではなく、資産の保有状況や営業の状態等も類似していることを前提とした上場会社の平均的な1株当たりの配当金額等の額を比準して株式の価格を評価する方式です。

比準要素数1の会社の株式の価額は、原則として、純資産価額方式で評価することとされ、納税者の選択により、類似業種比準方式と純資産価額方式との併用方式て評価することができることとされています。

比準要素数1の会社の株式の価額は、次のようになります。

計算式
1株当たりの純資産価額(相続税評価額:80%評価可)
又は(納税者の選択により)
類似業種比準価額×0.25+1株当たりの純資産価額(相続税評価額:80%評価可) ×(1-0.25)

比準要素数1の会社とは、直前期末を基とした場合の3つの比準要素のうち、いずれか2が0であり、かつ、直前々期末を基とした場合の3要素についてもいずれか2以上が0である会社をいいます。

このような会社の株式は、上場会社に比準する3要素のうち半分以上が0であるため、類似業種比準方式を適用する前提を欠いているという考え方から、原則として、純資産価額方式により評価します。

一方、休業中の会社や清算中の会社の株式について純資産価額方式により評価することとのバランスからすれば、比準要素数1の会社は、事業を継続していますから、その株式の評価においてある程度収益性を考慮すべきです。

また、収益性に配慮することとしても、小会社の株式の評価において2分の1の割合で類似業種比準方式を併用していますので、これよりも低いウェイトで収益性の観点を採り入れるという考え方から、比準要素数1の会社の株式については、納税者の選択により、類似業種比準方式の適用割合(Lの割合)を「0.25」として類似業種比準方式と純資産価額方式との併用方式により評価することができることとされています。

注意点

  • 同族株主等以外の株主等(いわゆる少数株主)が取得した株式については、配当還元方式によって評価することとされています。
  • 赤字・無配になった場合、その原因が偶発的損失であったとしても「偶発的」を理由に赤字・無配を変更することができません。
  • 比準要素数1の会社の判定をする場合、評価明細書記載金額は表示単位未満の端数がある場合、その端数は切り捨てて記載し、切り上げはしませんので、金額が小さい場合は注意が必要です。
  • 比準要素数1の会社に該当する会社は過去業績がよかったものの、含み益がある会社(内部留保が大きい会社)で現在赤字・無配となっている会社が考えられます。
  • このような会社で、内部留保が大きい場合は、純資産価額が非常に大きな金額となり株価が高くなりますので配当をするなどして比準要素数2にすると株価が下がることがあります。
  • 比準要素数1の会社は、 配当・利益を過去3年間で判定しますが、帳簿価額は過去2年間で判定しますので、赤字か、または無配を3年以上続けないことが判定回避策となります。具体的には含み資産の売却や別途積立金の取崩しによる配当などの検討しましょう。
  • 配当優先株式と配当劣後株式がある場合、これらの株式は別々に評価しますので、当期の所得金額がマイナスの為、配当優先株には配当し、配当劣後株には配当しなかったときの配当劣後株式は「利益0」「配当0」となり直前期末の結果は、「比準要素数1」となることがあります。

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