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開業前又は休業中の会社の株式


目次

1.開業後3年未満の会社等の株式の評価

取引相場のない株式の原則的評価方式は、評価会社が事業活動を行っていることを前提とし、その事業活動の成果である1株当たりの配当金額等を基に評価することになっています。

ですから、課税時期において、評価会社がまだ開業するに至っていない場合又は休業中である場合には、配当をしていませんし利益も計上されていませんので、その会社の株式を原則的評価方式及び配当還元方式によって評価することはできないことになります。

そこで、評価会社がこのような特殊な場合における株式については、それぞれの株式の実態に応じた評価方法が定められています。

まず、開業前又は休業中である会社の株式の価額は、純資産価額方式によって計算した金額(課税時期における1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって評価した金額))によって評価します。

計算式
課税時期における1株当たりの純資産価額(相続税評価額:80%評価不可)

総資産価額(相続税評価額によって計算した金額)ー 負債の金額+評価差額に対する法人税額等相当額 ÷ 課税時期における発行済株式数

開業前の会社の株式については、株式1株当たりの払込金額によって評価する方法もありますが、課税時期が会社設立の相当な期間を経過した後にある場合もあります。

この場合には、開業前の準備活動や経済情勢の変動によっては、課税時期における評価会社の財産価額と払込金額とが必ずしも一致しませんので、払込金額によって評価することは適当ではありません。

また、同族株主以外の株主等(いわゆる少数株主)が取得した株式についても、純資産価額方式によって評価することになります。

なお、開業前又は休業中とは、それぞれ次の場合をいいます。

  • 開業前とは、会社設立の登記は完了したが、現に事業活動を開始するまでに至っていない場合をいいます。
  • 休業中とは、課税時期の前後において相当長期間にわたり休業している場合をいいます。

したがって、その休業が一時的なもので、近く事業が再開されることが見込まれる場合には、「休業中の会社」には該当しません。

含み益や内部留保の多い会社が休業(再開予定のある短期間の休業は除きます)している場合は持株割合に関係なく全て純資産価額になり評価しますので少数株主(30%未満や50%以下)であっても配当還元価額になりません。


2.清算中の会社の評価

現に清算段階に入っている会社の株式の価額は、いわば解散価値であり、その解散価値は、清算の結果分配を受けると見込まれる金額です。

そこで清算中である会社の株式の価額は、清算の結果分配を受けると見込まれる金額を基として評価することとされていますが、実務上は純資産価額によることも可能と考えられます。

清算の結果分配を受けると見込まれる金額(2回以上にわたり分配を受ける見込の場合は、そのそれぞれの金額)の課税時期から分配を受けると見込まれるまでの期間(その期間が1年未満であるとき又はその期間に1年未満の端数があるときは、1年とします。)に応ずる基準年利率による複利現価の額(2回以上にわたり分配を受ける見込の場合には、その合計額)によって評価することとされています。

課税時期と清算分配金の交付時期とにズレがある場合には、分配を受けると見込まれる金額を課税時期の価額に換算する必要がありますので、基凖年利率による複利現価の額によって評価することとされています。

計算式

予想分配金の額×課税時期から交付見込日までの期間に応ずる基準年利率による複利現価率 の合計額

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