トップ > 相続の教科書 > 株式の評価 > 株式保有特定会社の株式
株式保有特定会社の株式
目次
1.株式保有特定会社の株式
会社の資産構成が、類似業種比準方式における標本会社(上場会社)に比して著しく株式等(株式及び出資)に偏っている会社がありますが、このような会社の株価は、その保有する株式等の価値に依存する割合が高いものと考えられますので、一般の評価会社に適用される類似業種比準方式を適用して適正な株価の算定を行うことは難しいとの考え方が適用されます。
そこで、課税時期における評価会社の総資産に占める株式等の保有割合が50%以上の会社を「株式保有特定会社」とし、その株式の評価は、原則として、その資産価値をより良く反映し得る純資産価額方式により評価することとされています。
また、評価会社の経営の実態に応じ実質的に類似業種比準方式の適用も受けられるよう、納税者の選択により、次の算式により評価できることとされています。
算式
株式保有特定会社の株式の価額=S1+S2
S1→株式保有特定会社が所有する株式等とその株式等に係る受取配当収入がなかったとした場合のその株式保有特定会社の株式を、会社の規模に応じた原則的評価方式により評価した価額
S2→株式保有特定会社が所有する株式等のみを評価会社の資産と捉えて、純資産価額方式に準じて評価した価額
これは、株式等の資産構成割合が高い会社のなかでも相当規模の事業を営んでいる会社については、その事業相当分の営業の実態も株式の評価に織り込む必要がありますので、保有株式等とそれ以外の資産とに区分して、それぞれについての評価を行い、それらを合算するというS1+S2方式が設けられています。
ただし、同族株主等以外の株主等(いわゆる少数株主)が取得した株式について、配当還元方式によって評価することができます。
なお、評価会社が、株式保有特定会社に該当する会社であるか否かを判定する場合において、課税時期前において合理的な理由もなく評価会社の資産構成に変動があり、その変動が株式保有特定会社に該当する会社であると判定されることを免れるためのものと認められる場合には、その変動はなかったものとしてその判定を行うこととされています。
この株式保有保有特定会社外しについては、課税時期3年前と定めておらず、課税時期3年超前に行った株式保有特定会社外しであっても認められない可能性があるので注意が必要です。
2.判定の基礎となる株式等の範囲
株式保有特定会社の株式等に該当するか否かの判定の基礎となる「株式及び出資」とは、所有目的または所有期間のいかんにかかわらず評価会社が有する株式(株式会社の社員たる地位)のすべて及び評価会社の法人に対する出資(法人の社員たる地位)のすべてをいいます。
株式保有特定会社の判定となる株式等は上場・非上場、所有期間、所有目的を問わず、また、出資金等も含まれます。
株式及び出資に該当するもの、該当しないものとしては、下記のものがあります。
該当するもの
- 証券会社が保有する商品としての株式
- 外国株式
- 株式制のゴルフ会員権
- 特定金銭信託
該当しないもの
- 匿名組合の出資
- 証券投資信託の受益証券
3.株式保有特定会社になっている場合の対策
現状株式保有特定会社に該当する場合には、株式保有割合を減らすことにより特定会社から外れることを検討します。例えば、営業用資産を増加させることや株式を売却するなどが考えられます。
上場株式に急激な値上がりがある場合は株式保有割合が高くなりますので、注意が必要です。
【関連するこちらのページもどうぞ。】
- 土地保有特定会社の株式
- 会社規模の判定
- 会社規模の判定~繰延税金資産が計上されている場合
- 株式保有特定会社の判定~株式及び出資の範囲
- 会社規模判定要素 従業員数
- 株式保有特定会社の株式
- 開業前又は休業中の会社の株式
- 会社規模の判定~従業員数の計算
- 比準要素数1の会社の株式
- 同族株主のうち特定の者が取得した株式
Tag: 取引相場のない株式の評価
【業務に関するご相談がございましたら、お気軽にご連絡ください。】
03-6454-4223
電話受付時間 (日祝日は除く)
平日 9:00~21:00
土曜日9:00~18:30
info@suztax.com
24時間受付中