利益と所得の違い 決算と申告時における節税
【目次】
1.申告調整とは
会社がいくら儲かったというときの利益は、企業会計の原則に基づいて作成される決算書の数字(税引前当期純利益というものが、税金を控除する前の利益です。)で、収益から費用を差し引いて求めます。
これに対して所得は、税法によって法人税を申告するのに必要な所得金額のことです。所得は益金の額から損金の額を差し引いて計算します。
所得金額は企業会計の利益をもとに算出しますが、収益と益金、費用と損金が同じではないので、利益=所得とはなりません。
寄附金を例にして考えてみると、企業会計では、寄附金の計上はとくに制限されていません。ところが、税法では寄附金の損金算入できる金額は決められていて、それ以上は損金算入ができなくなっています。
資本金5,000万円の会社がを寄附金700万円支出したとすると、決算書には費用として全額を計上できます。
しかし、税法上で損金算入できるのは、一定の方法により計算した金額となりますから、損金に算入できない金額を所得に加算することになり、その分所得が多くなります。
このように、決算書の利益から益金と損金をプラスマイナスして、所得金額を求めることを「申告調整」といいます。
2.益金にも算入するものとできないものがある
損金については上記のとおりですが、益金についても同様に益金に算入しないものがあります。
会社が販売した商品や製品、サービスなど、いわゆる売上げが益金ですが、それ以外にも士地や建物などの固定資産や有価証券の譲渡益、預金や貸付金の利息などの収益も、益金となります。
原則的には、会社の取引によって生じる利益はすべて益金となります。
この益金にも、算入できるものとできないものがあります。
賞与引当金や退職給付引当金などは益金に戻し入れ(決算書の利益に加える=益金算入)ます。
これに対して、法人税の還付金や受取配当金などは、益金に入れない(決算書の利益から差し引く=益金不算入)ことになっています。
3.税額控除とは
法人税法には税額控除という方法があります。
これは課税所得を求めて算出した税額から、直接控除できるというものです。
税額控除には、①法人税法に定められているもの②租税特別措置法に規定されている特別税額控除、の2種類があります。
法人税法で定められているのは、預貯金の利息に対してかかる所得税額の控除、外国で支払った税額に対する外国課税の控除などで、二重課税を排除する目的のものです。
租税特別措置法で定められている特別控除は、そのときどきの政策によって時限立法で制定されます。近年は、研究開発やIT関連に関する税額控除が多くなっています。
この税額控除は、特典として設けられている控除で、中小の同族会社でも該当するものが多くありますので、顧問税理士・会計士と相談し、適用もれがないようにし、上手に節税を図りましょう。
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