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消耗品等の購入による節税 「資産」関係の節税


【目次】

消耗品等については、期末に在庫として残っているものについては資産計上するのが原則ですが、事務用消耗品等については、これを買い入れたときに損金算入することができます。

1.消耗品等の取得時損金算入

消耗品等については、期末にその在庫数量を確認し、在庫として残っているものについては資産として計上し、使用したものだけを費用計上するのが会計の原則です。

法人税法でも、消耗品で貯蔵中のものは棚卸資産とされています。

ただし、企業会計では、消耗品、消耗工具器具備品その他貯蔵品等のうち、重要性の乏しいものについては、その買入時又は払出時に費用として処理する方法を採用することができることになっています。

税務の取扱いもほぼ同様で、事務用消耗品、作業用消耗品、包装材料、広告宣伝用印刷勿、見本品などについては、一般に金額的な重要性が乏しいため、次の条件が満たされれば、これを買い入れたときに損金に算入できることとされています。

①毎年おおむね一定数量を購入していること
②毎年経常的に消費するものであること
③この処理方法を継続して適用すること

これは、重要性の原則に則って、毎期の在庫計上をすることによる事務的な煩わしさを除き、円滑な経理処理ができることを目的としたものです。

そこで、この通達の適用範囲内において、期末までに消耗品を多めに購入しておくという方法が考えられます。

なお、製品の製造のために使用される作業用消耗品については、買い入れたときに製造原価に算入されることになります。

法基通2-2-15 消耗品その他これに準ずる棚卸資産の取得に要した費用の額は、当該棚卸資産を消費した日の属する事業年度の損金の額に算入するのであるが、法人が事務用消耗品、作業用消耗品、包装材料、広告宣伝用印刷物、見本品その他これらに準ずる棚卸資産(各事業年度ごとにおおむね一定数量を取得し、かつ、経常的に消費するものに限る。)の取得に要した費用の額を継続してその取得をした日の属する事業年度の損金の額に算入している場合には、これを認める。(昭55年直法2-8「七」により追加)

(注) この取扱いにより損金の額に算入する金額が製品の製造等のために要する費用としての性質を有する場合には、当該金額は製造原価に算入するのであるから留意する。


2.消耗品等の範囲

資産計上を省略できる消耗品等には、事務用消耗品、作業用消耗品包装材料、広告宣伝用印刷物、見本品その他これらに凖ずる棚卸資産があります。

2-1.事務用消耗品

事務用消耗品には、例えば、 OA用紙、ホチキス、またお茶や事務服などがあります。

2-2.作業用消耗品

手袋、タオル、ウエス、ブラシ、磨粉、グリス、潤滑油など工場等で作業をする際に用いられる物品が典型的なものです。

その他、
①作業服、作業靴、作業用帽子、懐中電灯、試験研究用ガラス器具などの使用可能期間が通常1年未満の固定資産的性格のある物品

②釘、銑金、塩ビ管、ボルト、ナットなどの保有数量が多量でない少額な補修用資材も、作業用消耗品

に凖じて取り扱われます。

2-3.包装材料

包装材料には、製品や商品の販売に際して用いられる包装紙、ひも、シールなどのほか、製品等を搬送又は保管するために行う箱詰や梱包などに使われるダンボール、木枠なども含まれます。

ただし、缶詰用の缶、びん詰用のびん、化粧箱入り製品の化粧箱など製品の最終形態の一部を構成する容器などは対象外です。

2-4.広告宣伝用印刷物

広告宣伝用印刷物には、ポスター、チラシ、カタログ、パンフレットなどがあります。

印刷物ではありませんが、広告宣伝用に配布されるポールペン、ライター、ティッシュペーパーも同様に取り扱われます。

2-5.見本品

見本品には、専ら広告宣伝を目的としてメーカーが小売店を通じて消費者に無償で配布するサンプルや試供品などがあります。

3.選択適用上の留意点

3-1.収入印紙、郵便切手等は対象外

在庫計上を省略できるのは、「消耗品その他これらに準ずる棚卸資産」です。

収入印紙、郵便切手、新幹線等の回数券、プリペイドカードは、その性格が金銭と同一であると考えられますので、この通達の適用対象外です。

したがって、これらについては期末の未使用分を資産計上します。

3-2.有償で支給する広告宣伝用印刷物及び見本品は対象外

広告宣伝用印刷物の典型的なものにチラシ、カタログ、パンフレットなどがありますが、これはあくまで無償で配布するものを対象としています。

したがって、メーカーが特約店等に有償で支給するカタログやパンフレットは、この通逹の適用対象外です。

広告宣伝用に配布されるボールペンやティッシュペーパーは印刷物ではありませんが、この通達が適用されます。

ただし、保険会社が外交員に有償で支給するノベルティー商品などについても資産計上する必要があり、この通達の対象外です。

見本品についても同様です。消費者に無償で配布するサンプル試供品は見本品の典型で、この通達が適用されて資産計上を省略することができます。

しかし、医薬品メーカー等が添付品として医師に配布する試供薬のように実質的に有償のものについては見本品には該当せず、この通達の対象外です。

なお、総合カタログについて、有償配布分は期末在庫計上を要するが、無償配布分については損釡算入できるとした裁決事例があります。

資産計上を省略できる広告宣伝用印刷物及び見本品は、無償で配布するものを対象としています。有償で配布するものは、収入と対応させる必要があるため、資産として計上しておいて、収入があったときに損金に算入することになるのです。

3-3.通達の取り扱い範囲

この通達の取り扱いは、あくまで重要性の範囲内で認められるもので、「各事業年度ごとにおおむね一定数量を取得し、かつ、経常的に消費する」消耗品等に限られています。

したがって、事務用消耗品等の棚卸資産であっても、その額が多額で、しかも毎年度末の在庫数量に相当の増減があるため、在庫計上を省略すると課税上弊筈があると認められる場合には、原則通り在庫計上をする必要があります。

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