欠損金がある場合の節税 決算と申告時における節税
【目次】
会社はゴーイング・コンサーンにより、継続することが大前提ですが、会社を経営しているなかで、経済の状況などによっては損失を出すこともあります。
欠損金が出てしまったら、青色申告法人は
①欠損金の繰越控除
②欠損金の繰戻還付
のいずれかを選ぶことができます。
欠損金の繰越控除
欠損金の繰越控除とは、当期の欠損金を翌期以降の9年間にわたって繰り越すことができるというもので、その間に利益が出たら、その分を相殺できます。
もしも、過去9年間で2期以上欠損金が出たとすると、最も古い年度に生じたものから相殺していきます。
ただし、繰越欠損金が残ったとしても9年間で切り捨てになりますから、できるだけ早く収益の上がる体質にすることが大切です。
(注1) 平成13年4月1日前に開始した各事業年度において生じた欠損金額については5年、平成13年4月1日以後に開始した事業年度から平成20年4月1日前に終了した事業年度において生じた欠損金額については7年となります。
なお、平成16年度税制改正により青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越期間が7年とされたことに伴い、平成13年4月1日以後に開始した事業年度においては、従来保存期間が5年間とされていた帳簿書類については7年間に延長されています。
また、平成23年12月税制改正により青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越期間が9年とされたことに伴い、平成20年4月1日以後に終了した欠損金の生じた事業年度においては、帳簿書類の保存期間が9年間に延長されました。
【欠損金が記載されている法人税申告書別表7】
欠損金の繰戻還付
欠損金の繰戻しによる還付制度とは、青色申告書である確定申告書を提出する法人が、各事業年度において欠損が生じた場合において、その欠損金をその欠損が生じた事業年度(欠損事業年度)開始の日前1年以内に開始した事業年度(還付所得事業年度)の所得に繰り戻し、その事業年度の所得に対する法人税額の全部又は一部を還付請求することができる制度です。
欠損金の繰戻し還付が受けられる法人は、これまで設立後5年以内の中小企業、
または解散や営業の全部譲渡、更生手続の開始などがあった法人というように非常に限られていました。
しかし、近年の経済情勢に配慮し、平成21年2月1日以後に終了する事業年度
より、中小企業者が
①還付の対象となる事業年度から欠損事業年度まで連続して青色申告書を提出し、
かつ
②欠損事業年度に期限内確定申告書を提出すると同時に還付請求した場合、欠損金の繰戻し還付が受けられる扱いになりました。(大会社の100%子会社である中小法人を除きます。)
この欠損金の繰戻しにより還付請求できる金額は、次の算式により計算される金額となります。
還付所得事業年度の法人税額 × 欠損事業年度の欠損金額/還付所得事業年度の所得金額
=還付請求できる金額
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