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ゴルフ会員権の評価損の計上 資産関係の節税


【目次】

1.ゴルフ会員権は時価が下落しても評価損の計上はできない

ゴルフ会員権には相場があり、ほとんどのゴルフ会員権についてはその時価をインターネット等により知ることができます。

現在のゴルフ会員権の相場の下落はバブルの時期から比べると著しいものがあり、高値の5分の 1 とか10分の 1 になったものも珍しくはありません。

会社法では、時価が著しく下落した場合、評価損の計上を強制するというのが基本的な考え方です。

また、企業会計でも、「時価が取得価額より著しく下落したときは、回復する見込があると認められる場合を除き、時価をもって貸借対照表価額としなければならない。」として時価評価すべきものとされています。

つまり、ゴルフ会員権の時価が著しく下落したときは、評価損を計上しなければならないということになります。

一方、税法では、資産の評価損は原則として認められず、例外として、棚卸資産、有価証券、固定資産及び繰延資産についてだけは特別の事実がある時のみ評価損を計上することができます。

したがって、ゴルフ会員権の時価が下落したというだけでは、税務上は評価損を計上することができません。

実は、ゴルフ会員権には株式形態のものと預託金形態のものがありますので、その形態により、税務上もゴルフ会員権の評価損を計上できる場合があります。

2.株式形態のゴルフ会員権の場合

株式形態のゴルフ会員権は、株主としての地位に基づきゴルフ会員権の行使が認められていることから、有価証券である株式の評価方法に基づいて取り扱われることになります。

もっとも、株式形態のゴルフ会員権を発行しているゴルフ場経営会社は、経営そのものが安定していることが多く、評価損の計上が認められる要件を満たすことはあまりないものと思われます。

しかしながら、有価証券である非上場株式ですので、
①その株式を発行する法人の資産状態が著しく悪化したこと
②その価額が著しく低下したこと
この 2つの事実により評価損の計上が認められます。

「資産状態が著しく悪化したこと」とは、次の場合がこれに該当します。
①その有価証券を取得して相当の期間を経過した後に、その発行法人について、次の事実が生じたこと。

イ 会社法の規定による会社の特別清算の開始の命令があったこと
口 破産法の規定による破産手続開始の泱定があったこと
ハ 民事再生法の規定による再生手続開始の決定があったこと
ニ 会社更生法又は釡融機関等の更生手続の特例等に関する法律の規定による更生手続開始の決定があったこと

②期末における発行法人の 1株(又は10)当たりの純資産価額が、その有価証券の取得時における発行法人の 1株(又は10)当たりの純資産価額のおおむね50%以上を下回ることになったこと

3.預託金形態のゴルフ会員権の場合

預託金は、ゴルフクラブからみれば会員から預かった保証金であり、法人税法上の有価証券には該当しません。

したがって会員権相場が下落した場合、相場があるといっても預託金形態のゴルフ会員権は、上場有価証券のように時価で評価することはありませんので、評価損を計上す
ることはできません。

また、預託金は、「預け金」であって「債権」ではありませんので、貸倒損失や貸倒引当金の設定対象にはなりません。

ゴルフクラブを経営する法人が倒産したような場合は、単なる寄託債権ではなくなったものと判断され、預託金の返還請求権という債権になるものと考えられます。

預託金の返還請求権という債権であれば、その発生した事実に応じて貸倒損失として処理するか、個別評価による貸倒引当金の繰入れができることになるのです。

例えば、ゴルフ会員権の預託金の一部が切り捨てられた場合ですが、ゴルフ場経営会社に民事再生法の規定による再生計画の認可の決定が行われ、預託金の一部が切り捨てられたとします。

このような場合には、契約変更により、預託金返還請求権の一部が金銭債権として顕在化した上で、その一部が切捨てられたとみることができます。

法人の有する金銭債権について、民事再生法の規定による再生計画の認可の決定があった場合において、これらの決定により切り捨てられることとなった部分の金額は、その事実の発生したの属する事業年度において貸倒れとして損金の額に算入するとされています。

したがって、預託金の一部が切り捨てられたときは、会員が従来通りゴルフ場施設を利用することができたとしても、その切り捨てられた部分の金額は貸倒損失として処理することができます。

なお、預託金の一部が切り捨てられたことにより、ゴルフ場経営会社は債務免除益を計上することになります。

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