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相続人の存在が不明のとき


目次

1.相続人の存在が不明のとき

相続の開始があった場合で、その相続について、相続人のあることが明らかでないとき、例えば、相続開始の時において相続人の存在が不明のとき、相続人となるべき者の全員が廃除されたとき、又は全員が相続を放棄したときなどの場合には、相続財産を承継すべき相続人である個人がいないこととなります。このような場合は、どうなるのでしょうか。

相続人の存在が不明の場合、これを清算の目的上、法人(これを「相続財産法人」といいます)と擬制し、家庭裁判所は利害関係人又は検察官の請求によって相続財産の管理人を選任し、相続人が明らかとなった場合には法人は最初からないものとし、相続人不存在が確定した場合には特別縁故者への財産分与を行い、残余財産があるときは、国庫に帰属させることとしています。

これらの手続を定めたものが相続人不存在の規定です。


2. 相続債権者、受遺者に対する弁済

相続人不存在の場合において、管理人の公告があった後2力月以内に相続人であることが明らかにならなかったときは、管理人は遅滞なく、一切の相続債権者及び受遺者に対し、一定の期間内にその請求の申出をすべき旨を公告しなければならないこととされています。

ただし、その期間は、2 力月を下ることができません。(民法957)


3. 相続人捜索の公告

2カ月の期間の満了後、なお、相続人のあることが明らかでないときは、家庭裁判所は、管理人又は検察官の請求によって、相続人があるならは6カ月にその権利を主張すべき旨を公告しなければならないこととされています(民法958)


4. 公告による除斥と特別縁故者への相続財産の分与

6力月内に相続人である権利を主張する者がいないときは、相続人並びに管理人に知れなかった相続債権者及び受遺者は、その権利を行使することができません(民法958の2)。

この場合において、相当と認められるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者(内縁の配偶者、事実上の養子、伯父、伯母など)の請求によって、これらの者に清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができるとされています(民法958の3)。

なお、上記により処分されなかった相続財産は、国庫に帰属することとなります(民法959)。


5. 相続税法との関係は?

特別縁故者が民法第958条の3により相続財産の全部又は一部を与えられたときは、相続税法においては、特別縁故者への遺言制度の補充制度と位置づけ、その財産分与を受けた特別縁故者は、その財産を分与時の価額で被相続人から遺贈により取得したものとみなされて相続税の課税を受けます。(相法3の2)。

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