相続分について
目次
1.相続分について
共同相続に際して、共同相続人が承継すべき権利義務の割合、各共同相続人が取得すべき相続財産の総額に対する分数的割合のことを相続分といいます。
そしてこの相続分は、次のとおり第1には被相続人又はその委託を受けた第三者の指定により決定(指定相続分)され、その指定がない場合には、民法によって一定の割合が法定(法定相続分)されています。
- 遺言による相続分 指定相続分
- 法律による相続分
- 法定相続分
- 代襲相続分
- 特別受益者相続分
- 寄与分
2.法定相続分
法定相続分は、相続人となった血族相続人と配偶者との組合せで次のとおりです。(民法900)
2-1.子と配偶者が相続人である場合
子の相続分 2分の 1
配偶者の相続分 2分の1
子が数人あるときは、全員で2分の1を受け、各人の間で均分します。
ただし、嫡出でない子の相続分は嫡出である子の相続分の2分の1とされていましたが、平成25年12月5日、民法の一部を改正する法律が成立し、嫡出でない子の相続分が嫡出子の相続分と同等になりました。
2-2.配偶者と直系尊属が相続人である場合[
配偶者の相続分 3分の2
直系尊属の相続分 3分の1
直系尊属が数人あるときは,各人の間で均分します。
2-3.配偶者と兄弟姉妹が相続人である場合
配偶者の相続分 4分の3
直系尊属の相続分 4分の1
兄弟姉妹が数人あるときは、各人の間で均分します。
ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹(半血兄弟姉妹)の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹(全血兄弟姉妹)の2分の 1とされます。
3.代襲相続分
代襲相続は被代襲者の死亡又は相続権喪失(欠格又は廃除)によってその直系卑属が不利益を被らないようにするための制度ですから、代襲相続人の相続分は、その直系尊属にあたる被代襲者が受けるべきはずであった相続分と同じです。(民法901)
代襲相続人が1人である場合には、その者は被代襲者の相続分をそのまま承継しますが、代襲相続人が数人あるときは、その各自の相続分は被代襲者が受けるべきであった部分について均分して受けます。
4.指定相続分
一般に相続分の指定とは、被相続人がその意思に基づき共同相続人の中の特定の者について法定相続分の割合と異なった割合を定めること(民法902)をいい、遺留分を侵害しない範囲内でその変更が認められています。
これは、現行民法が被相続人の意思を尊重し、形式的・画一的な法定相続分による配分よりも、各共同相続人の実情に即して、具体的、合理的な配分が行われることを期待しているからといわれています。
相続分の指定方法としては、被相続人が遺言で直接に各共同相続人の相続分の割合を定める方法と、第三者に委託して相続分の割合を定めさせる方法があり、いずれの場合においても相続分の指定又は指定の委託は必ず遺言の方式でなければならないとされています。
なお、共同相続人中の一部の者についてのみ指定又は指定の委託をしたときは、他の相続人については法定相続分の規定が適用されます。
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