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持分のある医療法人の出資の評価方法

株式会社や合同会社などと同じように、医療法人はその規模により、類似業種比準方式、類似業種比準方式と純資産価額方式との併用方式及び純資産価額方式により評価することとなります。

目次

1.医療法人の出資の評価方法

社団たる医療法人で持分の定めのあるもの出資は、ひとつの財産権とされており、かつては、企業組合、漁業生産組合等の出資と同じように純資産価額方式により評価することとされていたものです。

その後の改正により、医療法人の出資の評価は、取引相場のない株式の評価方式に準じて評価することになったのです。

株式会社や合同会社などと同じように、医療法人はその規模により、類似業種比準方式、類似業種比準方式と純資産価額方式との併用方式及び純資産価額方式により評価することとなります。

また、医療法人であっても、その法人が比準要素数1の会社、株式保有特定会社、土地保有特定会社、開業後3年未満の会社等又は開業前又は休業中の会社に該当する場合は、それらの特定の評価会社の株式の評価方法に準じて評価します。

なお、医療法人は、医療法の規定により剰余金の配当が禁止されていますので、一般の取引相場のない株式の評価方法と異なりますので、注意が必要です。


2.同族株主等の判定は不要

医療法人に対する出資の評価は、

  • 剰余金の配当が禁止されており配当還元方式がなじまないこと
  • 各社員(出資が義務づけられているわけではありません。)の議決権が平等であることから出資と議決権が結びついていない(社貝の所有する議決権割合を判定する必要はありません。)

といった特色がありますので、取引相場のない株式の評価方法のすべてが準用できるわけではなく、同族株主等の判定をする必要はありません。


3.規模の判定は?

規模の判定等とそれによる評価方式の区分は、「小売・サービス業」の基準により取引相場のない株式と同様の方法で行うこととなります。


4.業種の判定は?

医療法人の出資の評価において、類似業種比準価額を計算する場合の業種目は、「その他の産業」とされています。

「その他の産業」は、大分類だけですので、中分類もしくは大分類の選択は適用がありません。


5.類似業種比準価額

医療法人は剰余金の配当が禁止されていますので、類似業種比準価額の算式は、「1株当たりの配当金額」の要素を除外するため、分母が4となります。



6.純資産価額

取引相場のない株式を評価する場合の純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)は、株式の取得者とその同族関係者の有する株式の合計額が評価会社の発行済株式数の50%未満である場合は、80%を乗じて計算できます。しかし、医療法人では各社員の議決権が平等であることから、その出資金の評価においては、この20%の評価減は適用がありませんのでご注意ください。

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