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財産評価基本通達の時価の意義

目次

1.財産評価基本通達の時価の意義

相続、遺贈又は贈与により取得した財産の価額は時価により評価することとされていますが、その具体的な評価方法は財産評価基本通達に定めています。

そして、その評価の基本的考え方について、財産評価基本通達において

「財産の価額は、時価によるものとし、時価とは、課税時期(相続、遺贈若しくは贈与により財産を取得した日若しくは相続税法の規定により相続、遺贈若しくは贈与により取得したものとみなされた財産のその取得の日又は地価税法第2条《定義》第4号に規定する課税時期をいう。以下同じ。)において、それぞれの財産の現況に応じ、不特定多数の当事者問で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額をいい、その価額は、この通達の定めによって評価した価額による。」

と定めています。

財産の評価は、まず評価時点を相続、遺贈又は贈与による財産取得の日とし、みなし財産についてはそれぞれ相続税法に取得した日として定められた日を課税時期としています。


2.時価

次に、時価の具体的概念は、まず「課税時期におけるその財産の現況に応じ」て評価される価額であり、評価に当たっては、その財産に影響を及ほすべきすべての事情を考慮して行うこととされています。

評価対象財産の時価は客観的な交換価値を示す価額ですから、その財産の評価に当たり考慮される個別事情は客観的に認められるものに限定されることになります。例えば、借地権の設定されている土地を取得した場合には、その土地の時価は、その土地を完全に所有する場合と異なり、借地権に相当する価額が控除されます。

そして、その財産の取引が行われるとした場合において、「不特定多数の当事者間における自由な取引」が行われることを前提としています。

つまり、取引当事者は、一切面識のない第三者同士であり、その財産について取引を行ったとした場合に売り急ぎや買い進みといった個別的な事情は考慮しない状態で取引をすることを予定しているのです。

その取引により成立する価額は、「通常成立すると認められる価額」としています。

これは、第三者間における自由な取引を前提としていることから恣意的、かつ、主観的な要素を一切排除した客観的な交換価額をいうこととなります。

しかしながら、上記条件に該当する取引が存在することはなかなかなく、現実的には上記の条件により財産の評価額を算定することは困難です。

そこで、これらの条件を充足するとした場合の価額は、財産評価基本通達に定めることとし、これによって評価した価額を相続税及び贈与税における「時価」として強制的に適用します。

主な評価方法は下記のとおりです。

  • 売買実例価額による方法
  • 同種の財産の売買実例価額を直接時価とする方法
  • 類似の財産の売買実例価額を基として評価する方法
  • 類似の財産の売買実例価額を基とし、精通者意見価格等を参酌して評価額を求める方法
  • 類似の財産の売買実例価額に比準して評価する方法
  • 調達価額による方法
  • 再建築価額等を基とする方法
  • 販売価額を基とする方法
  • 仕入価額を基とする方法
  • 投下資本を基とする方法
  • 複利現価による方法
  • 複利年金現価による方法
  • 収益(配当)還元による方法
  • その他

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