短期貸付金(たんきかしつけきん)
【目次】
会社が役員、従業員等に貸したお金で1年以内に返還予定のものです。
科目の内容
短期貸付金とは、金銭貸付の取引から生じた金銭債権(金銭消費貸借契約および準消費賃借契約に基づきます。)で、決算日の翌日から起算して1年以内に返済される予定のものを表す勘定科目です。
具体的には、会社役員や従業員に対する資金援助や取引先に対する資金援助のための融資、子会社や関連会社に対する一時的な運転資金・設備資金の貸付で、1年以内に返済される予定のものをいいます。
役員や従業員に対する貸付金などは「役員短期貸付金」、「従業員短期貸付金」として区分表示するか、注記するようにしてください。ただし、役員に対する貸付金が多く、返済実績が全くないというような場合ですと、その貸付金が役員に対する賞与と認定される可能性もありますので、返済実績を作るようにしてください。よくあるのは、給料から天引きしていく方法です。その際は、必ず利息も徴収するようにしてください。利息を徴収しないと、税務調査の際、役員への貸付金に対する認定利息分に対する税金の支払いが発生する可能性があります。
子会社への貸付金は、「子会社短期貸付金」として区分表示するか、注記します。子会社に対する貸付金も返済実績が全くないと、子会社に対する寄附金と指摘される可能性があります。なお、グループ法人税制の導入により、100%子会社に対する寄附金は全額損金不算入となります。
また、金銭の貸付の取引の際に、借用証書の代わりに、債務者から約束手形を受け取ることがあります。この場合、担保として手形を受け取っていることを明らかにするため、他の「短期貸付金」と区別して「手形貸付金」の勘定を使うこともあります。
仕訳例
短期の貸付金を行った場合は、「短期貸付金」を借方に記入します。一方、貸付金を回収した場合は、貸方に記入します。
得意先に1年以内に返済してもらう約束で、お金を30万円貸しつけた。
(借方)短期貸付金 300,000円/(貸方)現金 300,000円
短期貸付金と長期貸付金の区別
決算日の翌日から1年以内に返済期限が到来するものは「短期貸付金」で処理しますが、1年を超えての返済が予定される貸付金は「長期貸付金」となります。この区分を一年基準(ワン・イヤー・ルール)と言います。例えば、3月決算法人で4月1日から3月31日までの間に回収予定のものは、「短期貸付金」として処理し、3月31日を超えて回収予定のものは「長期貸付金」として処理することとなります。
当初の貸付期間が1年を超えていても、時の経過にともなって、貸借対照表日(決算日)の翌日から1年以内に期限が到来することになった「長期貸付金」は、「短期貸付金」に振替えることとなっています。これは面倒ですが、資金繰りの計算のためにも必ず振り替えるようにしてください。そうすると、次の1年間で回収される貸付金が貸借対照表に計上されるため、資金繰りの計算に役立ちます。
税務上の留意点
上記のとおり、役員に対する貸付には利息が発生しますが、同様に従業員に対する貸付であっても、貸付金には利息が発生します。貸付金に対する利息は、営業外収益の区分に「受取利息」と表示されます。
会社は営利を目的としていますので、会社が無利息で貸付を行った場合、税務上、経済的な利益供与とみなされ、認定利息を計上しなければなりませんので注意が必要です。
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