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非居住者に対するネットオークションの消費税
非居住者に対するネットオークションの消費税について解説いたします。
目次
1.非居住者に対するネットオークションの消費税
ネットオークションの役務の提供の内外判定は、基本的にはサーバーの所在場所が国内であるかどうかにより行い、日本国内で運営するネットオークションに対する役務の提供は国内取引になります。
役務の提供が国内と国内以外にまたがっていると判断される場合、役務の提供を行う運営会社の役務の提供に係る事務所等の所在地が国内にある場合には国内取引に該当します。
2.非居住者に対する役務の提供
オークションの運営会社は、出品者と落札者に利用料を請求しますので、出品者と落札者にそれぞれ役務の提供を行っています。
非居住者に対する役務の提供は、
- 国内に所在する資産に係る運送又は保管
- 国内における飲食又は宿泊
- 上記に準ずるもので国内において直接便益を享受するものは課税、これら以外のものは輸出取引等
に該当するものとされています。
オークションには非居住者による出品もあり、この場合の入札は商品が国外にある状態で行われます。落札者が決定した後、国外の出品者から落札者あてに商品が発送され、国内の落札者が輸入手続を取ります。
出品者が非居住者である場合の出品者から受領する会員費及び出品システム利用料は、国内に所在する資産に係る役務の提供ではなく、これを非居住者に対して行うものですから、上記に該当せず輸出取引等に含まれます。
落札者である居住者から受領する落札システム利用料と出品者が居住者で落札者が非居住者である場合の出品者から受領する会員費及び出品システム利用料の取引は、居住者に対して行う役務の提供ですので、輸出取引等に該当せず課税の対象となります。
居住者から受領する落札者システム利用料は、国内に所在する商品の売買に係る役務の提供であり、上記の「国内に所在する資産に係る運送又は保管に準ずるもの」に該当します。
しかし、非居住者にとって商品を発注するのと同様の行為であって、国内で直接便益を享受するものには該当しませんので輸出免税の適用を受けることができると考えられます。
3.取引が成立した商品の発送等
ネットオークションにより成立した取引の入金や商品の発送は出品者と落札者の間で行われるので、出品者と落札者との間の売買取引となり、この取引に係る消費税の適用関係は次のようになります。
出品者が非居住者である場合の出品者から受領する会員費及び出品システム利用料は、国外に所在する資産の売買取引ですから国外取引に該当します。したがって、商品の取引自体は消費税の課税の対象とはならず、消費税を含まない価格で代金の精算等を行います。
そして、出品者から国内の落札者あてに商品が送付されると外国貨物の保税地域からの引取りに該当し、国内の落札者が輸入に係る消費税を納付します。
出品者が居住者で落札者が非居住者である場合の出品者から受領する会員費及び出品システム利用料は、国内に所在する資産の売買ですから国内取引に該当し、出品者は落札者である非居住者向けに商品を発送することとなり、国外への発送には輸出の手続が必要で、その輸出許可書等の保存を要件として輸出免税の規定が適用されますし、商品の輸出のための運送賃は輸出免税の対象となります。
輸出免税の適用を受ける取引ですから、オークションによる代金の精算は運送賃を転嫁する場合を含めて消費税を含まない価格で行います。