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免税店(輸出物品販売場)の免税販売方法の概要

免税店(輸出物品販売場)の免税販売方法の概要について解説しています。

目次

1.免税店(輸出物品販売場)の免税販売方法の概要

免税店(輸出物品販売場)における免税販売手続は、販売場の運営形態によって異なりますが、一般型輸出物品販売場においては次のような流れで行われます。

【海外旅行者に対する免税販売の要件】
(1)輸出物品販売場(免税店)の許可を受ける販売場であること

(2) その物品が渡航先における贈答用として出国の際に携帯し帰国若しくは再入国に際して携帯しないことの明らかなもの又は渡航先においてその海外旅行者が2年以上使用若しくは消費するものであること。

(3)譲渡に係る物品が次の(3)-1又は(3)-2であること
(3)-1渡航先における贈答用に供して帰国若しくは再入国に際して携帯しない
ものであること
(3)-2渡航先において2年以上使用若しくは消費するもの

(4)譲渡に係る物品の1個当たりの対価の額が1万円を超えるもの

(5)上記(3)の要件を満たすものであることにつき譲渡を受ける者が作成した「海外旅行者が出国に際して携帯する物品の購入者誓約書」を事業者において保存すること
(6)譲渡を受けた者が輸出したことにつき税関長が証明した「輸出証明書」を事業者において保存すること



2.パスポート(旅券)の提示

外国人旅行者等の非居住者が消費税の免税販売により購入した場合は、輸出物品販売場を経営する事業者に対し、その所持するパスポート(旅券等)を提示します。

なお、次に掲げるパスポート(旅券等)のいずれの提示もないときには、免税販売はできませんのでご留意ください。

【免税店(輸出物品販売場)に提示するパスポート等の種類】
イ 旅券(上陸許可の証印を受けたもの)
ロ 船舶観光上陸許可書
ハ 乗員上陸許可書
二 緊急上陸許可書
ホ 遭難による上陸許可書

また、同一の輸出物品販売場において、同一の非居住者に対して1日に販売する一般物品の販売額の合計が100万円を超える場合には、免税商品を購入した非居住者は、輸出物品販売場を経営する事業者にパスポート(旅券等)の写し(パスポートの場合、パスポート番号、非居住者の氏名、生年月日、性別及び国籍が印字された部分)を提出しなければなりません。

この場合、輸出物品販売場を経営する事業者は、そのパスポート(旅券等)の写しを納税地又は輸出物品販売場の所在地において、免税で販売した日の属する課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から7年間保存しなければなりません。


3.購入記録票の作成と購入誓約書の提出

免税店(輸出物品販売場)を経営する事業者は、外国人旅行者から提示されたパスポート(旅券等)を基に免税対象物品の購入事実を記載した書類である「購入記録票」を作成します。

【購入記録票のサンプル】
購入記録票

非居住者は、免税対象物品を購入後において輸出する旨を誓約する書類である「購入者誓約書」を作成し、輸出物品販売場を経営する事業者に提出します。

【購入者誓約書のサンプル】
購入者誓約書

なお、消耗品は、消耗品を購入した日から30日以内に輸出する旨を誓約する書類を輸出物品販売場を経営する事業者に提出する必要があります。

「購入記録票」と「購入者誓約書」は、原則一般物品・消耗品ごとに作成する必要があり一般物品と消耗品を同時に販売する場合には、一般物品に係る購入記録票等の記載事項と消耗品に係る購入記録票等の記載事項の記載内容が同一となる事項(購入者の氏名、国籍、生年月日、在留資格及び上陸年月日など)は重複して記載する必要はありません。

一般物品と消耗品の対価の額の合計額が一般物品については5,000円以上であるかどうか、消耗品については5,000円以上500,000円までの範囲内であるかどうかをそれぞれ判定する必要がありますので、一の書類として作成する場合でも、「一般物品の品名、品名ごとの数量及び価額並びにその一般物品の価額の合計額」と「消耗品の品名、品名ごとの数量及び価額並びにその消耗品の価額の合計額」については、それぞれ区分して記載する必要があります。

このため、市販されている「購入記録票」や「購入者誓約書」は、「一般物品用、「消耗品用」、「一般物品・消耗品混在用」に分けられていることが一般的です。


4.購入記録票と購入者誓約書の様式

一般物品に係る購入記録票等の記載事項と消耗品に係る購入記録票等の記載事項を1つの書類にまとめて記載する場合、記載事項のうち購入者の氏名、国籍、生年月日、在留資格及び上陸年月日など一般物品に係る購入記録票等の記載事項と消耗品に係る購入記録票等の記載事項の記載内容が同一となる事項は重複して記載する必要はありません。

ただし、上述したように一般物品と消耗品のそれぞれ対価の額の合計額が一般物品については5,000円以上かどうか消耗品については5,000円以上500,000円までの範囲内であるかどうかをそれぞれ判定する必要がありますので、1つの書類として作成する場合でも「一般物品の品名、品名ごとの数量及び価額並びにその一般物品の価額の合計額」と「消耗品の品名、品名ごとの数重及び価額並びにその消耗品の価額の合計額」はそれぞれ区分して記載する必要があります。

購入記録票等に記載すべき事項の全部又は一部が記載された明細書等(例えば購入者に対し交付するレシートなど)を購入記録票等に貼り付け、明細書等と購入記録票等との間に事業者が「輸免」の割印をした場合は、その明細書等に記載された事項は、購入記録票等への記載を省略できます。

輸出物品販売場を経営する事業者は、「購入記録票」を非居住者の所持するパスポート(旅券等)に貼り付け、旅券等と「購入記録票」との間に割印します。この「輸免」の印は市販されていますのでご活用ください。


5.免税対象物品の引き渡し

免税店(輸出物品販売場)を経営する事業者は免税対象物品を引き渡す際は、購入者との事後のトラブルを防止するためにも「購入記録票」に記載されている下記の事項を説明します。

・免税で購入した物品を帰国の際に携帯していなかったときはその購入物品に対する消費税が徴収されること。(消耗品は購入後30日以内に指定された包装を開封せずに国外に持ち出す必要があることを非居住者に説明する必要があります。)


6.購入者誓約書の保存

免税店(輸出物品販売場)を経営する事業者は非居住者から提出された購入者誓約書を免税対象物品を免税で販売した日の属する課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から7年間納税地又は輸出物品販売場の所在地に保存しなければなりません。

購入者誓約書の保存がない場合やその記載内容に不備がある場合には非居住者に対する販売であっても免税となりませんのでご留意ください。

災害等やむを得ない事情により保存できなかったことを事業者が証明した場合には購入者誓約書がなくなったとしても免税となります。

同一の輸出物品販売場において同一の非居住者に対して1日に販売する一般物品の販売額の合計が100万円を超える場合は、非居住者は輸出物品販売場を経営する事業者にパスポート(旅券等)の写しを提出し、事業者はそのパスポート(旅券等)の写しを保存する必要があります。

平成28年度税制改正により「購入者誓約書の電磁的記録による保存・提供」が設けられました。

非居住者が行う輸出物品販売場への購入者誓約書の提出は、免税対象物品を輸出する旨を誓約する電磁的記録(購入者誓約書の記載事項を記録したものに限ります。)の提供によることができることとされ,この措置は平成28年5月1日以降に販売されるものから適用されます。

輸出物品販売場を経営する事業者がその電磁的記録の提供を受けた場合には、次のとおり、「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則」第8条第1項各号に規定する措置を行い,同項に規定する要件に準ずる要件に従って保存する必要があります。

6-1.措置

電磁的記録による提供を受けた後、遅滞なく、記録事項にタイムスタンプを付すこと、又は電磁的記録の訂正等の防止に関する事務処理規程を定め,その規程に沿った運用を行うこと

6-2.要件

電磁的記録をディスプレイの画面及び書面に整然とした形式及び明瞭な状態で速やかに出力できるようにしておくとともに,記録事項を検索することができる機能を確保しておくこと



7.購入者記録票の提出

非居住者は出国する際、免税で購入した物品を携帯などの方法により輸出するとともにパスポート(旅券等)に貼り付けられた「購入記録票」を出港地を所轄する税関長に提出しなければなりません。

なお、非居住者が出国する際免税で購入した物品を携帯していない(輸出しない)場合には、出国時にその非居住者から免除された消費税額に相当する消費税が徴収されることとなりますのでご留意ください。

また非居住者が免税で購入した物品を別送の方法により輸出した場合は、出国する際にその物品を携帯していないことになりますので、別送による輸出手続きをとる際に「購入記録票」を提示し、税関において輸出済である旨の証印を受けることで確認を受けることになります。

ただし、郵便により輸出するものは、郵便局が発行する受領証(内容品の品名、数量、価格が記載されているものに限ります。)又は受理明細証により確認できるものは、これにより確認を受けることになります。


8.免税販売手続きの電子化

平成30年度税制改正により、これまで輸出物品販売場において書面により行われていた購入記録票の作成等の免税販売手続が見直され、これらの手続が電子化されることとなりました。
この改正は、輸出物品販売場を経営する全ての事業者の方が対応する必要があります。

【施行時期】
令和2年(2020年)4月1日以後行う免税販売から適用

※ 令和3年(2021年)9月30日までの間は、経過措置として従来の書面による免税販売手続ができます。同日までに免税販売手続の電子化に対応しなかった場合、令和3 年(2021年)10月1日以後は免税販売ができません。

免税販売手続について、これまで輸出物品販売場において書面により行われていた購入記録票の作成等の手続が廃止され、輸出物品販売場を経営する事業者は、購入記録情報(購入者(非居住者)から提供を受けたパスポート(旅券等)に記載された情報及び購入の事実を記録した電磁的記録(データ))を、電子情報処理組織を使用して(インターネット回線等を通じて電子的に)、遅滞なく国税庁長官へ提供することとされました。

購入記録情報は輸出物品販売場の識別符号や軽減対象である旨を除き、これまで作成していた購入記録票等に記載する事項と原則として同様です。

輸出物品販売場を経営する事業者は、あらかじめ、電子情報処理組織を使用して購入記録情報を提供することにつき、その納税地を所轄する税務署長に届出書を提出しなければならないこととされています。(購入記録情報の提供に関する届出書)

購入記録情報の提供に関する届出書は、令和1年(2019年)10 月1日から提出することができます。

届出書の提出後、税務署から輸出物品販売場を経営する事業者に対して、輸出物品販売場ごとの識別符号が通知されます。
(注) 輸出物品販売場ごとの識別符号は、国税庁長官に提供する購入記録情報の事項の一つとなります。

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