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免税店(一般型輸出物品販売場)の許可申請方法
免税店(一般型輸出物品販売場)の許可申請方法について解説しています。
目次
1.一般型輸出物品販売場の許可申請書類
免税店(輸出物品販売場)は、許可申請の方法は、販売場の運営形態(一般型、手続委託型、免税手続カウンター、港湾施設内臨時販売場)によって異なります。
一般型輸出物品販売場の許可申請は、「輸出物品販売場許可申請書(一般用)」に次の書類を添付して納税地の所轄税務署長に提出します。
なお、申請書の提出に当たっては、添付書類に漏れがないように、「輸出物品販売場許可申請書添付書類自己チェック表(一般型用)」を活用しましょう。
輸出物品販売上許可申請書添付書類自己チェック表についてはこちらをクリック
また、申請書の提出先は、輸出物品販売場の所在地の所轄税務署長ではありません。例えば、事業者の納税地が東京都の渋谷税務署管内で、輸出物品販売場の所在地が北海道札幌市である場合には、渋谷税務署長に申請することになります。
(注1)平成27年3月31日までに許可を受けている輸出物品販売場は、平成27年4月1日に「一般型輸出物品販売場」の許可を受けたものとみなされるため、その輸出物品販売場について改めて「一般型輸出物品販売場」の許可を受ける必要はありません。
(注2)一般型輸出物品販売場を「手続委託型輸出物品販売場」に変更する場合には、許可要件が異なるため、改めて「手続委託型輸出物品販売場」の許可を受ける必要があります。
【「輸出物品販売場許可申請書(一般用)」の添付書類】
1.許可を受けようとする販売場の見取図
・販売場の見取図などに免税販売手続を行う場所を付記したもの(建築図面等の詳細なものでなくても可)
2.免税販売の方法を販売員に周知するための資料
・免税販売手続マニュアルなど
3.免税販売手続を行う人員の配置状況が確認できる資料
・免税販売手続を行う場所の見取図に人員の配置状況を付記したものなど
4.申請者の事業内容が確認できる資料
・会社案内やホームページ掲載情報など
5.許可を受けようとする販売場の取扱商品が確認できる資料
・取扱商品リスト、商品カタログなど
6.許可を受けようとする販売場において作成する購入記録票のサンプル
2.許可要件
事業者が経営する販売場が一般型輸出物品販売場として許可を受けるためには、次の要件のすべてを満たしていることが必要です。
1.消費税の課税事業者であること。
2.現に国税の滞納(その滞納額の徴収が著しく困難であるものに限る。)がないこと。
3.輸出物品販売場の許可を取り消され、その取消しの日から3年を経過しない者でないことその他輸出物品販売場を経営する事業者として特に不適当と認められる事情がないこと。
4.現に非居住者の利用する場所又は非居住者の利用が見込まれる場所に所する販売場であること。
5.免税販売手続に必要な人員を配置し、かつ、免税販売手続を行うための設備を有する販売場であること。
3.免税店許可申請の審査のための調査
輸出物品販売場の許可申請をした後、税務職員による実態確認が行われます。
輸出物品販売場の許可申請に対して許可前に行う臨場による申請等の調査は、申請等の審査のために行う調査であり、「その他の実地の調査」に該当することから、国税通則法の規定により、調査を行う旨の事前通知が行われることになります。
なお、店舗開設時に合わせて販売場の許可を与えた場合など許可後に行われる実態確認は、許可事業者への適正な免税手続等に係る指導を目的として実施するものであり、「実地の行政指導」の「個別指導(アフターケア)」に該当するため、国税通則法上の事前通知を行う必要はありませんが、実務上、行政指導として臨場する旨を事前連絡があります。
4.消費税免税事業者の場合
消費税の納税義務が免除されている事業者については、輸出物品販売場制度の適用はありませんので、許可を受けることはできません。
免税店(輸出物品販売場)の許可を受けたい免税事業者は、課税事業者を選択する必要があります。
5.免税店を行う店舗が複数ある場合
店舗が2か所以上ある場合の輸出物品販売場の許可について解説いたします。
輸出物品販売場の許可は販売場ごとに受ける必要があります。
例えば、埼玉県に本店(納税地)がある法人が、神奈川県と千葉県に販売場を開設しようとする場合には、埼玉県を所轄する税務署長の許可を受けることになります。
なお、許可を受けようとする販売場が複数ある場合で、複数の販売場の許可を同時に受けようとするときは、「輸出物品販売場許可申請書」の「販売場の所在地」欄、「販売場の名称」欄、販売場所在地の「所轄税務署名」欄については適宜の様式に記載し、申請書に添付した上、納税地の所轄税務署長に提出することで、各販売場についての許可申請を行うことができます。
6.非居住者の利用が見込まれる場所
免税店(輸出物品販売場)の許可要件に「非居住者の利用が見込まれる場所に所在する販売場」という要件があります。
「非居住者の利用が見込まれる場所に所在する販売場」については、許可申請の時点において非居住者の利用度が高いことまでを求められているのではなく、今後、非居住者の利用が見込まれる場所も含むとされています。
非居住者が出入国する空港や観光地などは、一般的に非居住者の利用度が高いと認められることになりますが、これらの場所に限定されるものではありません。
7.免税販売手続に必要な人員
免税店(輸出物品販売場)の許可要件に「免税販売手続に必要な人員の配置」とあります。
「免税販売手続に必要な人員の配置」については、免税販売の際に必要となる手続きを非居住者に対して説明できる人員の配置が求められています。
ただし、外国語については、母国語のように流ちょうに話せることまでを必要としているものではなく、例えば、パンフレット等の補助資料を活用しながら、非居住者が手続を理解することができれば十分です。
なお、補助資料として「指さし会話シート」などがあります。
8.免税販売手続を行うための設備
免税店(輸出物品販売場)の許可要件に「免税販売手続を行うための設備」という要件があrます。
「免税販売手続を行うための設備」とは、免税販売の際に必要となる手続きを行うためのカウンター等の設置が求められています。
ただし、免税販売のための特別なカウンターを設けることまでを必要とされているものではありません。
9.店舗の移転・廃止等
輸出物品販売場としての許可を受けている店舗が移転等した場合には、その販売場を経営する事業者は所定の手続きをする必要があります。
輸出物品販売場の許可を受けている事業者が、その販売場に係る事業を廃止その他の事情によりその許可を受ける必要がなくなった場合には、廃止した販売場ごとに「輸出物品販売場廃止届出書」を納税地の所轄税務署長に提出することになります。
10.店舗の移転
一般型輸出物品販売場の許可を受けた店舗が複数あり、そのうち1店舗を移転した場合の手続きについて解説いたします。
輸出物品販売場としての許可は、その販売場ごとに受ける必要があります。このため、その販売場を移転した場合には、移転後の販売場について、事業者の納税地の所轄税務署長に「輸出物品販売場許可申請書(一般型用)」を提出し、改めて輸出物品販売場としての許可を受ける必要があります。
例えば、埼玉県に本店(納税地)がある法人が、神奈川県と千葉県にある販売場で許可を受けていた場合で、千葉県の店舗が茨城県に移転した場合には、茨城県の店舗として、納税地(本店)の所轄税務署長に「輸出物品販売場許可申請書(一般型用)」を提出し、改めて輸出物品販売場の許可を受ける必要があります。
また、合わせて、移転前の千葉県の店舗については、納税地(本店)の所轄税務署長に「輸出物品販売場廃止届出書」を提出する必要があります。
なお、販売場の移転はないものの、販売場所在地の住所表示が変更になった場合には、事業者の納税地の所轄税務署長に「消費税異動届出書」を提出します。
11.本店所在地の移転
本店所在地とは別の場所に輸出物品販売場の許可を受けた店舗があり、本店所在地が移転した場合、輸出物品販売場としての許可はその販売場ごとに受ける必要がありますが、その販売場の移転がない場合には、輸出物品販売場としての手続きは必要ありません。
ただし、法人税については、その法人の納税地(本店所在地等)の異動があった場合には、異動後の納税地の所轄税務署長に「異動届出書」を提出することになりますので留意が必要です。(地方税については異動前と異動後どちらも提出が必要)
12.業者の吸収合併
一般型輸出物品販売場を経営する会社を吸収合併した場合の手続きについて解説いたします。
被合併法人であるB社から引き継ぐこととなった輸出物品販売場については、合併法人がその納税地の所轄税務署長に「輸出物品販売場許可申請書(一般型用)」を提出し、改めて輸出物品販売場としての許可を受ける必要があります。許可を受けるまでは輸出物品販売場での免税販売ができませんのでご留意ください。
なお、被合併法人B社が許可を受けていた販売場については、「輸出物品販売場廃止届出書」を提出する必要があります。
13.輸出物品販売場の譲渡
一般型輸出物品販売場を経営していて、その販売場を他社に譲渡する場合、輸出物品販売場を譲渡した法人では、許可を受けていた販売場について、「輸出物品販売場廃止届出書」を提出する必要があります。
また、販売場の讓渡先の法人は、その納税地の所轄税務署長に「輸出物品販売場許可申請書(一般型用)」を提出し、改めて輸出物品販売場としての許可を受ける必要があります。
14.事業者の相続
相続によってその販売場を私が引き継ぐことになったという場合、被相続人から引き継ぐこととなった販売場について、相続人がその納税地(住所地等)の所轄税務署長に「輸出物品販売場許可申請書(一般型用)」を提出し、改めて輸出物品販売場としての許可を受ける必要があります。
また、これまで被相続人が許可を受けていた販売場については、「輸出物品販売場廃止届出書」を提出する必要があります。
15.許可の取消し
納税地の所轄税務署長は、輸出物品販売場の許可を受けている事業者が消費税に関する法令の規定に違反した場合又は輸出物品販売場として施設その他の状況が特に不適当と認められる場合には、輸出物品販売場の許可を取り消すことができるとされています。
なお、取り消すことができる場合の取扱いについては、消費税法基本通達において、次のように定められています。
1.「消費税に関する法令の規定に違反した場合」とは、消費税法第64条《罰則》の規定に該当して告発を受けた場合をいいます。
2.「輸出物品販売場として施設その他の状況が特に不適当と認められる場合」とは、非居住者に対する販売場としての施設等が十分なものでなくなった場合、経営者の資力及び信用が薄弱となった場合等、輸出物品販売場として物的、人的、資金的要素に相当な欠陥が生じた場合をいいます。