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事業主が負担した従業員を被保険者とする保険契約 個人事業の必要経費を利用した節税
【目次】
1.保険契約が養老保険の場合
次のような契約形態で養老保険に加入するとします。
保険契約者 | 事業主 |
---|---|
被保険者 | 従業員 |
保険料負担者 | 事業主 |
満期保険金受取人 | 事業主 |
死亡保険金受取人 | 従業員の遺族 |
保険期間 | 10年 |
養老保険契約が一定の条件を満たすものであれば、保険料の1/2を期間の経過に応じて事業所得の金額の計算上、必要経費に算入し、残りの1/2を資産に計上することになります。
所得税では、法人税のように明確な取扱いはありませんが、事業主が従業員の福利厚生を目的として加入するものであれば、同様な方法で経理することとして差し支えないと考えられます。
しかし、以上のような取扱いが認められるのは、あくまでもその保険契約が事業遂行上必要なものでなければなりません。
養老保険の場合、被保険者となっている従業員の年齢、契約期間、保険料の支払方法等からみて、従業員の福利厚生というよりは、事業主の利殖が目的と見られるものも少なくありません。
もし、事業主の利殖を目的とした保険契約であれば、法人税と同様の取扱いは認められず、支払保険料の全額を将来満期保険金を受け取った場合の一時所得の金額の計算上控除すべきものと考えられます。
そこで、養老保険が次の条件を満たすものであれば、事業遂行上必要な保険として、法人税の取扱いに準じて取り扱うこととなります。
①原則として、家族従業員を除く全従業員を被保険者とする契約を結ん
でいること。
②各従業員の退職年齢を考慮した契約期間とし、又は、事業主と各従業員の間に退職までの期間、順次契約を更新していく旨の取り決めがあること。
③事業主が受け取る満期保険金について、被保険者である従業員との間に将来の退職金の原資に充てるなど、福利厚生目的に使用される旨の取り決めが交わされていること。
④事業主が当該保険契約に係る保険料、剰余金等、保険金などのその契約に係る取引のすべてについて正確に記帳していること。
したがって、養老保険がこれらの条件を満たす場合には、その保険料の1/2を期間の経過に応じて、事業所得の金額の計算上必要経費に算入し、残りの1/2を資産に計上することになります。
2.保険契約が定期保険の場合
契約者及び保険金受取人が事業主で、被保険者を従業員とする掛捨ての定期保険契約について、事業主が負担する保険料は期間の経過に応じて、事業所得等の金額の計算上必要経費に算入することができ、また、事業主が保険金を受け取った場合には、その保険金収入は、事業所得等の金額の計算上総収入金額に算入することになります。
定期保険契約、いわゆる掛捨ての保険契約の場合は、貯蓄の性質がないことから、従業員の雇用に基づく将来の経費の支出を担保するものであり、店舗や商品等の損害保険料と同様に、事業遂行上必要な経費とみられる限りにおいては、必要経費に算入することができます。
なお、生命保険金は、一般的には一時所得(保険料負担者が死亡した場合の死亡保険金は相続財産となります。)になりますが、事業に関連して収入するものは、一時所得ではなく、事業所得等の収入金額となります。
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