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損害賠償金を必要経費に算入する【個人事業の必要経費を利用した節税】


【目次】

1.損害賠償金を必要経費に算入する

事業を営んでいる以上、交通事故などにより損害賠償金を支払うこともあると思います。

そのような事態は起きないほうがよいのは当然ですが、もし起きてしまった場合、業務に関連して支払った損害賠償金は、原則として必要経費になります。

事業主の起こした事故はもちろん、従業員の起こした事故でも同様です。

損害賠償金には、慰謝料、示談金、見舞金など他人に与えた損害を補填するために支出する一切の費用が含まれます。

保険金などで補てんされる金額があるときは、その金額を差し引いた金額が必要経費になります。

しかし、家事上の経費及びこれに関連する経費に該当する損害賠償金などは、必要経費に算入することができません。

また、不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務に関連して他人の権利を侵害したととにより支払う損害賠償金などであっても、それが故意又は重大な過失に基因するものであるときは必要経費に算入することができません

諸経費が必要経費として認められるためには、債務が確定していなければなりません。

債務が確定したものとは次の3つの要件を満たしている場合をいいます。

①その年の12月31日までに、その費用に係る債務が成立していること
②その年の12月31日までに、その債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること
③その年の12月31日までに、その金額を合理的に算定できること

2.損害賠償金の金額が決まらない場合

損害賠償金などについては、いくら支払うのか簡単には決まらないことがよくあります。

事故等を起こした年のうちに決まれば問題はありませんが、その年には金額が確定しないということもあります。いくら支払えばよいのか決まっていない場合には、当然、債務は確定しません。

しかし、損害賠償金の支払額が正式に決まっていなくても、12月31日までに相手方に対して、支払う金額を申し出ていれば、債務が確定したものとみなされ、その金額を必要経費にすることが認められています。

年末までに損害賠償額が決まらないときは、相手方にこれだけ支払いますという意思が明らかになるように、文書で残しておいてください。

3.重大な過失の判定

その者の職業、地位、加害当時の周囲の状況、侵害した権利の内容及び取締法規の有無等の具体的な事情を考慮して、その者が払うべきであった注意義務の程度を判定し、不注意の程度が著しい場合には特段の事情がない限り、重大な過失があったものとなります。

4.賄賂等

個人が供与する刑法第198条(賄賂)に規定する賄賂又は不正競争防止法第18条第1項(外国公務員等に対する不正の利益の供与等の禁止)に規定する金銭その他の利益に当たるべき金銭の額及び金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額(その供与に要する費用の額がある場合には、その費用の額を加算した金額)は、その者の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上、必要経費に算入することができません。

5.駐車違反により支払った交通反則金等

罰金及び科料(通告処分による罰金又は科料に相当するものを含みます。)並びに過料については、たとえ業務の遂行上の行為によるものであったとしても必要経費に算入することはできません。これは、その違反者に対する罰則の効果を減殺させないためのものと考えられます。

したがって、個人事業主が駐車違反をしたことによって支払った交通反則金は、事業所得の金額の計算上必要経費には算入できません。

一方、駐車違反に伴い徴収されるレッカー車代等は、その措置に要した実費を負担させる意味合いのものであり、罰金とは性質を異にするものです。

したがって、上記の罰金等には該当せず、業務遂行上のものである場合には、必要経費に算入できます。

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