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公益法人等のうち個人とみなされる納税義務者

相続税法では一定の要件に該当する公益法人等は個人とみなされ納税義務者となります。

目次

1.なぜ公益法人等を個人とみなすのか

こちらのページをご覧ください。



2.既存の公益法人等に対する遺贈に係る納税義務

公益法人等が遺贈により財産を取得した場合(その遺贈に係る財産の価額が法人税法の規定によりその公益法人等の所得の金額の計算上益金の額に算入される場合を除きます。)において、その遺贈により遺贈をした者の親族その他これらの者と特別の関係がある名の相続税又は贈与税の負担が不当に減少する結果となるときは、その公益法人等は相続税法上個人とみなされ相続税の納税義務を負います。


3.設立のための財産提供に係る納税義務

公益法人等を設立するための遺贈による財産の提供により財産を取得した場合(その提供に係る財産の価額が法人税法の規定によりその提供を受けた者各事業年度の所得の金額の計算上益金の額に算人される場合を除きます)で、その遺贈により遺贈をした者の親族その他これらの者と特別の関係がある者の相続税又は贈与税の負担が不当に減少する結果となるときは、その公益法人等は相続税法上個人とみなされて、相続税の納税義務を負います。


4.公益法人等の納税義務者の区分

公益法人等が相続税の納税義務者となる場合で、公益法人等の納税義務者の区分は、その住所が法施行地内にある場合は無制限納税義務者となり、法施行地以外にある場合において制限納税義務者となります。



5.公益法人等の相続税額

公益法人等が相続税の納税義務者となった場合、その負担すべき相続税額は、公益法人等が被相続人の配偶者及び一親等の血族以外の者に該当することから相続税の総額に基づいて計算された相続税額にその2 割相当額を加算した金額となります。


6.相続税の納税義務が生じない場合

公益法人等が遺贈により取得した財産の価額が法人税法の規定によりその公益法人等の各事業年度の所得の金額の計算上益金の額に算入される場合、法人税と相続税の二重課税を避けるために、相続税は課税されません。


7.特別の関係がある者とは

上記の遺贈者の親族その他これらの者と特別の関係がある者とは次のものをいいます。

  • 遺贈者とまだ婚姻の届出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者及びその者の親族でその者と生計を一にしているもの。
  • 遺贈者の使用人及び使用人以外の者でその遺贈者から受ける金銭その他の財産によって生計を維持しているもの並びにこれらの者の親族でこれらの者と生計を一にしているもの


8.相続税又は贈与税の負担の不当な減少

相続税又は贈与税の負担が不当に減少する結果となるかどうかの判定は公益法人等に財産の遺贈があった時点の事実だけで判定するわけではありません。

遺贈の場合、現時点における相続税及び将来における贈与税の不当減少の可能性も含めて判定します。

ですから、この判定は、その公益法人等が遺贈者の親族等に対して、次の事実があるかどうかによります。

  • 遺贈を受けた法人の寄附行為(財団法人)、定款(社団法人)若しくは規則(宗教法人)又は遺言書(以下「寄附行為等」といいます。)において、遺贈者の親族等に特別の利益を与える旨の記載(例えば、理事長をを世襲制とするなど)をしていないかどうか、現実に特定の者に対して特別の利益を与えている事実がないかどうか。
  • 遺贈を受けた法人が遺贈者の親族等に対して特別の利益を与えるなどの行為をし、又は行為をすると認められるかどうか
  • 遺贈を受けた法人について、解散による財産の処分、組織、理事などの構成員その他それぞれの態様に応じてその運営組織が適正かどうか

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