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減資があった場合の最終価格の月平均額
上場株式の発行会社が課税時期の属する月の前月中に減資している場合、相続税の計算はどのように行うのでしょうか。
目次
課税時期の属する月の前月中に減資している場合には、課税時期の属する月以前3か月間の最終価格の月平均額は減資形態に応じて下記のように計算します。
実質的減資
調整は行いません。
形式的減資
次のとおりの修正等を行って算定します。
課税時期の属する月
その月の毎日の最終価格の平均額とします。
課税時期の属する月の前月(減資のあった日の属する月)
- 減資が月末にあるような場合
評価通達172《上場株式についての最終価格の月平均額の特例》に準じて、次の算式により減資のあった日の属する月の最終価格の月平均額を減資後の価格に相当する金額に修正した金額とて計算します。計算式
減資のあった日の属する月の最終価格の月平均額÷(1-減資割合) - 減資が月初にあるような場合
減資の日からその月の末日までの毎日の最終価格の平均額として計算します。
課税時期の属する月の前々月(減資のあった日の属する月の前月)
次の算式により減資のあった日の属する月の前月の最終価格の月平均額を減資後の価格に相当する金額に修正した金額として計算します。
計算式
減資のあった日の属する月の前月の最終価格の月平均額÷(1-減資割合)
欠損を埋める等の目的で資本金を減少させる減資には、形式的な減資と実質的な減資があります。
実質的な減資は、株式の有償償却等によって行われるため、会社財産を払い戻すこととなり、資本が減少します。
形式的な減資は、会社財産を株主に払い戻さず、株式の無償償却によって行われるため、形式的に資本は減少しますが、実質的に会社財産は減少しません。
減資は、形式的な減資である場合が多く、この場合、企業の資産自体には変化がありませんから、株式数が減少した分だけ株価は上昇することとなります。
例えば、2株を1株にする減資(5割減資)の場合において、従前の株価が100円であるとすれば、減資後の株価は、次のとおり200円となります。
計算式
100円÷(1-0.5)=200円
実質的な減資の場合には、株式消却の方法のとり方によってさまざまな状況が発生するため、理論的に減資後の妥当な株価が算定できません。
以上から、課税時期の属する月の前月中に減資している場合には、その減資が形式的な減資であるときに限り、課税時期の属する月以前3か月間の最終価格の月平均額は修正等を行って算定しますが、その減資が実質的な減資であるときには、課税時期の属する月以前3か月問の最終価格の月平均額の訓整は行いません。
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