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退職金の現物支給 給料と退職金などによる節税
【目次】
1.退職金の現物支給をしたときの評価
創業社長が退任するときには役員退職金が高額になりがちで、全額を現金で支給することができなくて、現物支給することがあります。
現物支給の対象となるのが、役員社宅として社長に賃貸していた土地と建物というのが少なくないようです。
現物支給をしても、全額損金にできるのでしょうか。
原則として、役員退職金の額が不相当に高額なものでなければ、不動産に限らず、現物支給しても全額損金とすることができます。
しかし、現物支給、とくに不動産の場合は別の問題があります。
現物支給するときの評価額は「時価」とします。たとえば、役員社宅の士地・建物の癒価は2000万円であっても、時価で評価すると2倍の4000万円になるのであれば、 4000万円を支給したことになります。
創業社長の役員退職金は、株主総会で8000万円と決めたとすると、土地・建物の現物支給分4000万円、残りの4000万円を現金で支給することになります。
もしも、現物支給分を簿価で評価して、士地・建物の現物支給分2000万円と現金6000万円を支給した場合は、時価評価との差額の2000万円の支給分について問題が生じてしまいます。
2.含み益は役員への「経済的利益」とされる
株主総会で支給額を8,000万円と決議しているわけですから、不動産の含み益の2,000万円は、創業社長に対する経済的利益として課税の対象になります。
また、会社は創業社長に過大な退職金を支給したことになるので、この分は損金に算入できないことになります。
退職金の支給を受けた創業社長にとっても、含み益の2000万円分は退職金としてではなく、経済的利益とされるので、その年の総収入金額に組み入れられます。
つまり、その年のほかの収入と合算されるので、税率の高い所得税が適用されます。本来退職金は分離課税であり、他の所得と合算されるものではありません。
また、退職所得控除という多額の控除の恩恵を受けることができるので、退職金に係る税額というのは少額であることがほとんどなのです。
現物支給をするときは、かならず「時価」で評価するようにします。そうしないと、かえって税金を多く納めることになります。
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