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事前確定届出給与の減額・増額 給料と退職金などによる節税


【目次】

1.事前確定届出給与と支給額が異なると損金算入できない

役員賞与を7月と12月の年間2回支給するが、その全額を損金にしたいというときには事前確定届出給与の届出を税務署に出す必要があります。

そして、そのとおりに役員給与と賞与が支給されたときに、全額を損金とすることができます。

ところが、事前確定届出給与の届出をしたが、得意先が倒産して手形が不渡りになり、業績に大きな影響が出るので、届出額を減額したいということもあります。

事前確定届出給与の額とトータルでは同じでも、支給額が違う場合は全額を損金とすることができません。

上記のようにやむを得ず事前確定届出給与で届け出た額を支給することができず、支給額を減額する場合も、原則は同じです。

業績の悪化が理由であっても、減額すると届出額と支給額が違うので、全額を損金とすることができなくなります。

なお、経営が著しく悪化したときは、届出額を変更することができます。

その場合、業績悪化により支給額を変更することを株主総会や取締役会で議し、その日から1力月を経過する日までに変更届出書を提出する必要があります。

ちなみに、経営が著しく悪化したときというのは、会社の清算に入る寸前というような、末期的な経営状況のことです。

実質的には、業績悪化を理由にした事前確定届出給与の変更はできないと思ってください。

2.職務分掌の変更の場合は減額が認められます

事前確定届出給与の減額が認められるケースもあります。

それは、不祥事が起こり、それを担当役員が責任をとって減給する、または専務から平の取締役に降格するなどの場合です。

つまり、役員の職務の内容から生じた事情や役員の地位の変更があったときは、減額が認められます。

事前確定届出給与の減額については、支給額を減額することを株嘉会や取締役会で決議します。

そのうえで、その日から1力月を経過する日までに変更届出書を提出する必要があります。

このときに、株主総会や取締役会での決議事項については、必ず議事録を作成しておきましょう。議事録がないと本当に開催されたのか、事前確定届出給与の減額するため開催したことにしたのではないかと税務調査時にあらぬ疑いをかけられてしまいます。

3.事前確定届出給与の増額

事前確定届出給与の届出を出して、そのとおりに賞与を支給してきたが、業績がよかったので、役員にも事業年度末に臨時の賞与を支給するとしたら、事前確定届出給与の取り扱いはどうなるのでしょうか。

事前確定届出給与である条件は、株主総会や取締役会の決議にもとづいて支給されるもので、支給額と支給時期が職務の執行前に決まっていること、そして、決められた期日までに届出書を出していることです。

臨時賞与はこのいずれにも該当しないので、事前確定届出給与にあたらず、損金とすることはできません。

ただ、届出書のとおりに支給した賞与は損金とできますから、いわゆる決算賞与だけが損金算入できないということになります。

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