役員退職金の分割支給は認められるか 給料と退職金などによる節税
【目次】
1.役員退職金の分割支給は認められるか
創業社長が退職するというような場合は、社長の在任期間が長いだけに、役員退職金も高額になりがちです。役員退職金の算出方法は、通常在任期間に最終月額報酬を乗じて算出されるため、在任期間が長ければ長いほど高額になる傾向があります。
会社の業績も好調で、高額な退職金でも一括して支給することができればいのですが、一括して支給するためには資金調達が必要になることもあります。保険金の解約返戻金などでまかなえる場合には、保険金を解約するというのもひとつの手ではないでしょうか。
こうした財務状況のときには、定時株主総会等で、退職金を分割して支給するという決議を行い、分割して支給することもあります。
役員退職金を一括して支給するときは、株主総会の決議等によって退職金の額が確定した日が属する事業年度に損金算入します。法人税法においては、債務は確定主義が採られていますので、総会決議があってはじめて、退職金という債務が確定することとなります。
役員退職金を分割して支給する場合は、こうすれば損金算入することができると断定することはできません。
役員退職金の支給を決議したということは、その年度に支払うべき債務が確定したということになります。
会計処理は次のようになります。
(借方)役員退職金 XXXXXX (貸方)未払金 XXXXXX
つまり、役員退職金は全額その年度の損金となります。
しかし、役員退職金の支給を受けるほうは、支給された分について所得税が源泉徴又されるので、これまた実態に合わないことになります。
そのため、役員退職金を分割して支給する場合、分割して損金にすることが認められることもあるようです。
2.分割期間は長くても3年から4年程度
分割支給する役員退職金が損金として認められるには、株主総会等で分割支給が決議されていること、資金調達が必要になるなど分割して支給する合理的な理由があること、そして分割する期間が3年から4年程度であることが、必要最小限の要件となっています。
以上の要件を満たす一助とするためにも、株主総会等で分割支給を決議したら、株主総会等の議事録を必ず作成しておくようにします。
なお、分割期間はできるだけ短期間でないと、認められる可能性は低くなります。 5年以上になりますと、分割支給ではなく、退職年金として取り扱われることになります。
3.役員退職金の議事録作成例
臨時株主総会議事録
平成○年○月○日午前○○時より、当会社の本店において臨時株主総会を開催した。
議決権のある当会社の株総主数 ○名
この議決権の総数 ○個
出席株主数(委任状による者を含む) ○名
この議決権の総数 ○個
上記の通り出席があったので、定刻、代表取締役○○は議長席につき、開会を宣し、議事に入った。
第1号議案 取締役○○氏辞任につき改選の件
議長は取締役○○氏辞任につき、その後任者を選任する必要がある旨を述べ、その選任方法を諮ったところ、議長に一任する旨の発言があったので、議長は○○を取締役に指名した。議場も満場異議なくこれを承認したので、下記のとおり可決確定した。
なお、被選任者は総会において就任を承諾した。
取締役 ○○
第2号議案 役員退職慰労金支給の件
議長は、取締役○○が平成○○年○○月○○日辞任したので、役員退職慰労金を支給したい旨を述べ、その金額、支給時期および支給方法等は、役員退職慰労金支給規定を前提として取締役会一任と決定してもらいたい旨を述べ、議場にはかったところ、満場一致をもって、これを承認可決した。
議長は以上をもって本日の議事の終了した旨を述べ、午前○○時閉会した。
以上の決議を明確にするため、この議事録を作り、議長、出席取締役(および出席監査役)がこれに記名押印する。
平成○○年○○月○○日
株式会社○○臨時株主総会
議 長、議事録作成者
代表取締役 ○○ ㊞
出席取締役 ○○ ㊞
同 ○○ ㊞
(出席監査役 ○○ ㊞)
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