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役員の生前退職金を支給する 株価対策


オーナーに退職金を支払うことにより、株価を引き下げることが可能です。

事業の承継と自社株式の対策を考えるとき、オーナーは近い将来に後継者に経営権を譲ります。

オーナーご自身はしばらくは会長職にとどまり、後継者社長の経営の後見をなされるケースが多いようですが、いずれは完全に社業からの引退を決意されます。

会社の経営者としての会長職から、ほとんど経営にタッチしない名誉会長や相談役等になられた場合は、生前退職金の支給を受けることが可能です。

税法では、合理的な理由があって、退職金の打切支給を行う場合は損金処理を認めています。

オーナーの退職金は通常は多額な支給額になりますから、当該期の利益は大幅に減額され、株価も大きく低下することになります。

つまり、オーナーの退職金支給の年度に合わせて株価対策を行うということです。

さらには、他の利益を小さくする方法と合わせますとさらに株価は下落することになります。

株価を下げてから、後継者へ株式を贈与なり、譲渡させると円滑な事業承継が可能となります。

目次



1.役員の分掌変更等の場合の退職金

役員の分掌変更等に伴い支給した退職金については、その支給が次のような事実があり、分掌変更等により役員としての地位または職務が激変し、実質的に退職したのと同様の事情にあると認められる場合は、退職金として取り扱うこととします(法基通9-2-35)。

「次のような事実」とは、以下のようなことをいいます。

① 常勤役員が非常勤役員になったこと

ただし、非常勤であっても代表権を有する者及び代表権を有しないが実質的にその法人の経営上主要な地位を占めていると認められる者は除かれます。

② 取締役が監査役になったこと
ただし、監査役でありながら実質的にその法人の経営上主要な地位を占めていると認められる者は除かれます。

③ 分掌変更等の後における報酬が激変したこと
激変とはおおむね50%以上の減少をいいます。

以上のように「常勤役員」が「非常勤役員」になり、役員報酬が下がった場合は原則的に認めるということで問題は「実質的に経営権を有しているか、いないか」ということになります。

同族会社の場合は簡単に役員の肩書変更や分掌変更ができると思われていますから、客観的に証明することが難しいことになります。

よって、同族会社のオーナーの場合は、税法は実質的な引退を前提としていますから、「取締役」に就任しなければ役員会に出席しないわけですから客観的に経営にタッチしていないといえるでしょう。

また、オーナーは大株主ですから、役員の解任等も容易に行われると考えられますから、取締役を外れることをおすすめしています。

しかし、オーナーの生前退職金の支給などによって株価が下落したのを機会に、株式のほとんどを後継者等へ贈与または譲渡によって移転してしまい、大株主でなくなった場合は、仮に取締役に残っても、非常勤でかつ報酬が激変していれば、実質的に経営権を有していると判断することは難しいと思われます。

2.役員退職金の適正額

役員の退職金の支給額は、本来その役員の功績(社業の発展に対する貢献度など)、勤続年数及び退職時の復位(会長、社長、専務、平取締役)などの個別的な要素を総合的に勘案して決定されるべきものです。

しかしながら、会社の計算のみを無条件に認めると恣意性が多分に介在することになり、とくにオーナー経営者の退職金の支給額の決定には判断が難しくなります。

そこで、税法では、個別的な要素を勘案しながら、「適正な額」の判断基準を同業、同規模他社の過去の役員退職金の支給水準に合わせて定めています。

税務上の役員退職金の適正額とは、「その役員が法人の業務に従事した期間、退職の事情、その法人と同種の事業を営む法人で事業規模が類似するものの役員に対する退職金の支給状況に照らし、その退職した役員に対する退職金として相当であると認められる金額」と定められています。


2-1.具体的な判定基準の平均功績倍率法

役員退職金適正額=判定役員の最終月額報酬×勤続年数×平均功績倍率

① 平均功績倍率=類似法人個々の功績倍率の合計値÷類似法人の数

② 類似法人個々の功績倍率=役員退職金の額÷その者の最終月額報酬× その者の勤続年数

③ 功績倍率は、取締役については役位ごと(社長、専務など)に計算します。
また、監査役とは区分して計算します。

<計算例>:

・会長(オーナー)の最終報酬月額200万円
・社長及び会長在職年数30年
・平均功績倍率(役員退職金規程) 3.0倍

200万円×30年×3.0=1億8,000万円

2-2.平均功績倍率の決め方について

類似法人の功績倍率のデータは、一般納税者には収集が困難であり、適正な功績倍率の決定は難しいものです。

そこで目安として、昭和56年11月18日の東京高裁での過大役員退職金の認定裁判で行われた上場会社の実態調査結果で、功績倍率の平均値が「社長3.0、専務2.4、常務2.2、平取締役1.8、監査役1.6」であったことから一般的には会長、社長の功績倍率は「3.0~3.5」くらいといわれています。


2-3.役員退職金規程の作成

平均功績倍率をはじめとして役員退職金支給額が適正かどうかの税務上の判定においては、会社の計算根拠が重要になります。

そこで、合理性を立証するために必ず「役員退職金規程」の作成が必要です。とくに重要なのは、役員退職金の計算方式を定めることです。

一般的には、次の算式方法が多いようです。

(退職時の最終報酬月額× 役位在任年数) × 役位別係数の合計額

<計算例>:

・退職時の最終報酬月額
・通算役員勤続年数
・専務4年常務4年平取締役5年
〔計算〕
100万円×4年×3.0= 1,200万円
100万円×4年×2.8= 1,120万円
100万円×5年×2.5=1,250万円
合計3,570万円

役員退職金規程の例

(総則)
第1条退職役員の退職慰労金に関しては、本内規の定めるところによる。

(適用範囲)
第2条本内規において役員とは、取締役及び監査役をいう。

(退職慰労金の計算方法)
第3条退職した役員に支給すべき退職慰労金の額は、退職時の報酬月額(使用人兼務取締役の使用人分給料を含む。)に役職ごとの在任年数及び役職系数を乗じて算出した金額の合計額とする。

役職系数は、次のとおりとする。

役職係数
取締役
会長、社長3.2
副社長、専務3.0
常務2.8
平取締役2.5

監査役2.5

(在任年数)
第4条在任年数は就任日より退職日までとし、在任年数に端数が生じた場合は、6月未満は0.5年、6月以上1年未満は1年として計算する。

(功労加算金)
第5条在任中とくに功労があったと認められる役員に対しては、第3条により計算された退職慰労金額の3割を限度として功労加算金を支給することができる。

(弔慰金)
第6条役員が在任中に死亡した場合には、第3条により計算された退職慰労金のほかに、当該役員の報酬月額の3月分相当額を限度として弔慰金を支給することができる。

(支給時期)
第7条退職慰労金の支給時期は、株主総会決議後2月以内とする。

(端数処理)
第8条退職慰労金の計算において10万円未満の端数が生じた場合は、これを切り上げる。

附則

(内規の改廃)
第9条本内規は経済状況、社会情勢もしくは会社経営状況に著しい変動のあった場合は、改定または廃止することがある。

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