トップ > 相続の教科書 > 株式の評価 > 配当還元方式~株式割当の権利が発生している場合
配当還元方式~株式割当の権利が発生している場合
配当還元方式の場合、株式の割当てを受ける権利が発生しているときであっても、 1株当たりの純資産価額や類似業種比準価額などの原則的評価方式による方法で評価する株式の場合と同一に考えることはできません。
目次
1.株式割当の効力が発生している場合
課税時期が株式の割当ての基準日からその株式の効力が発生する日までの間にある場合には、増資による株式の増加は実現していないのですが、株式の割当てを受ける権利が発生していることになり、株式とは別に独立したものとして評価します。
この場合、株式が上場株式であれば、その株式の割当てを受ける権利の発生と同時に株式の価額は権利落のものとなりますが、取引相場のない株式の場合、評価する株式の価額はその株式の割当てを受ける権利を含んだものとなります。
そこで、1株当たりの純資産価額や類似業種比準価額などの原則的評価方式による方法で評価した取引相場のない株式の価額については、その価額を修正することとしています。
2.株式割当の効力が発生している場合の配当還元方式
配当還元方式による配当還元価額は、課税時期の直前期末以前2年間の配当金だけを株価の算定要素としており、かつ、その配当金は企業の実績からみた安定配当に基づくものです。
増資は、企業効率の向上を図るためそれぞれの目的のもとに行われることが一般的であり、増資による払込資金は、通常事業活動に投下され相応の収益を生みます。
増資によって株式数が増加しただけ 1株当たりの配当金が減少するとは限らず、むしろ維持されるのが通常なのです。
このようなことから、安定配当の金額を基礎として評価した株式の価額は、株式の割当てを受ける権利が発生している場合であっても、 1株当たりの純資産価額や類似業種比準価額などの原則的評価方式による方法で評価する株式の場合と同一に考えることはできません。
結論
配当還元方式により計算した株式について課税時期において株式の割当てを受ける権利が発生していても、その株式の価額の修正は行いません。