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配当還元方式の特例
目次
同族株主等以外の株主及び同族株主等のうち少数株式所有者が取得した株式については、その株式の発行会社が大会社であるか、中会社であるか、また、小会社であるかの会社規模にかかわらず、次の算式によって計算した金額によって評価します。
算式
その株式に係る年配当金額÷10%×その株式の1株当たりの資本金等の額÷50円
上記算式の「その株式に係る年配当金額」は 1株当たりの資本金等の額を50円とした場合の金額ですので、評価会社の 1株当たりの資本金等の額が50円以外の場合には、評価会社の直前期末における1株当たりの資本金の額の50円に対する倍数を乗じて調整した金額により評価することとなります。
同族株主等以外の株主等が取得した株式については、原則直前期末以前2年間の年配当金額を基とする配当還元方式によって評価することとなりますが、その配当還元価額が、その株式について同族株主等が取得した場合に適用される原則的評価方式によって評価した価額を超えることとなる場合、その原則的評価方式によって計算した金額によって評価することとなります。
これは、会社の支配権を有する同族株主等の所有する株式の価額に比し同族株主等以外の株主の所有する株式の価額の方が低くなるのが通常であり、また、一般的にも配当還元方式による評価額の方が原則的評価方式による評価額を下回ることが通常なのですが、収益力を無視して異常な高額配当を行っている場合などには、適正な評価額が算定されず、評価の公正を損う結果となることからこのように評価することとされています。
また、この措置は、年配当金額の最低を2円50銭とした場合の配当還元価額が、原則的評価方式により評価した価額を上回るときの評価の安全弁としての役割を果たしています。