元入金-個人で事業を始める場合の元手となる資金(もといれきん)
【目次】
会社でいう純資産のようなものです。個人で事業を始める場合の元手となる資金のことであり、事業で獲得した利益によって変動します。
1.科目の内容
「元入金」とは、個人事業者が個人事業を始めるにあたって拠出した事業資金を計上する勘定科目です。
「元入金」は、会社の資本金に相当する勘定科目です。ただし、資本金は増資や減資といった手続きをしないと増減しませんが、「元入金」は事業で得た儲けなどが加算・減算されるため、毎年変動します。
よって、事業が継続していく中では、会社の資本金というよりも、純資産の部(資本金、剰余金)に相当する勘定科目と捉えたほうが適切と言えるでしょう。
「元入金」は、青色申告をする個人事業者の貸借対照表科目として計上されます。
青色申告制度とは、正規の簿記の原則に従って帳簿に記帳し、その数値に基づき、貸借対照表、損益計算書を作成した場合、税法上様々な特典が受けられる制度で
す。
2.仕訳例
「事業主貸」勘定と相殺する場合は、「元入金」勘定を借方に記入します。
事業の開始にあたり事業資金を拠出した場合や「事業主借」勘定と相殺する場合などには、貸方に記入します。
個人事業を始めるにあたって、普通預金の口座に20万円入金した。
(借方)現預金 200,000円/(貸方)元入金 200,000円
3.元入金の振替処理
「元入金」は、期首に資産総額から負債総額を引いた金額となりますので、期中にこの元入金の金額が動くことは絶対にありません。
毎年年末(仕訳の処理日付としては12月31日となります。)に「事業主貸」と「事業主借」を相殺して、その残額を「元入金」に振替処理します。
「事業主貸」残の場合は「元入金」が減少し、「事業主借」残の場合は「元入金」が増加します。
また、「元入金」は利益の大小によって増減します。
翌期首の「元入金」は、次の式をご参照ください。
翌期首「元入金」
=前期末「元入金」+「青色申告特別控除前所得」+「事業主借」一「事業主貸」
事業の継続中は、毎期首の「元入金」勘定の金額が、事業主が拠出している事業資金となります。
青色申告特別控除とは、個人事業者が青色申告で所得税を申告する場合に、一定の要件を満たした場合、最高65万円を所得から控除できる制度のことです。
この振替処理については、会計ソフトによっては自動的に仕訳処理が行われるため、特段仕訳処理をする必要がありません。
会計事務所によっては、事業主借か事業主貸どちらかの科目に寄せるというような処理もしていますが、元帳上にその取引を記録するためにもどちらの科目も使用したほうがいいでしょう。
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