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事業主貸・事業主借(じぎょうぬしかし・じぎょうぬしかり)


【目次】

事業主貸とは、個人事業で、商売に関係なく事業主に支出された額です。
事業主借とは、事業主から事業資金として受け入れた額です。

1.科目の内容

「事業主貸」とは、個人事業を営んでいる場合に、事業の中からその個人事業者に生活費などの資金を支出した際に会計処理する勘定科目です。

「事業主借」とは、個人事業を営んでいる場合に、個人事業者から事業資金を支出してもらったり、事業に関係のない事業所得以外の収入を事業に受け入れた際に会計処理する勘定科目です。

個人事業の場合、事業と、個人生活の金銭の出し入れが一緒になってしまいがち
です。

そこで、「事業主貸」や「事業主借」勘定を利用して、会計上、事業と個人生活の金銭の動きを区分し、期末(個人事業の場合には12月31日です。)にお互いを相殺し、「元入金」に振替えます。


2.仕訳例

2-1.事業主貸

事業資金から事業主に生活費などの資金を支出した場合などは、「事業主貸」勘定
を借方に、他方、決算時に「事業主借」勘定と相殺する場合は、貸方に記入します。

事業用の普通預金から生活費を20万円引き出した。
(借方)事業主貸  200,000円/(貸方)現預金  200,000円



2-2.事業主借

決算時に「事業主貸」勘定と相殺する場合は借方に、事業主からその事業のための資金を借り入れた場合などは、「事業主借」勘定を貸方に記入します。

事業資金の不足を、事業主が普通預金に資金を振り込んで貸し付けた。



3.事業主貸の具体例

「事業主貸」勘定を使って会計処理するものには、以下のようなものがあります。

  • 家賃や減価償却費などを按分した家事分の金額(家事分の金額は、必要経費にはできませんので、家事分を事業主貸勘定とします。)
  • 所得税や住民税等を支払った金額(必要経費にはできませんので、事業主貸勘定を使って仕訳をきります。)
  • 事業の必要経費にできない事業主の個人的な支払いに支出した金額(必要経費にはできませんので、事業主貸勘定を使って仕訳をきります。)
  • 事業から生じた資金を事業主の生活費として支出した金額(事業に関係がない経費であり、必要経費にはできませんので、事業主貸勘定を使って仕訳をきります。)
  • 事業主の国民年金、自宅の火災保険などに支払った金額必要経費にはできませんので、事業主貸勘定を使って仕訳をきります。なお、国民年金などは所得控除を適用することができます。)
  • 家事消費した金額など(家事消費した金額は事業に関係がない経費であり、必要経費にはできませんので、事業主貸勘定を使って仕訳をきります。)


4.事業主借の具体例

「事業主借」勘定を使って会計処理するものには、以下のようなものがあります。

  • 事業主からの個人的に入金された金額(個人的に入金された金額は収入ではありませんので、事業主借勘定を使って仕訳をきります。)
  • 事業主の会計から支払った事業の必要経費の金額(事業主が立て替えたものという意味で事業主借勘定を使って仕訳をきります。)
  • 事業主の家計から事業資金を借りた金額(事業主が支払ったものなので、事業主借勘定を使います。)
  • 事業用の預金利息、配当などの事業所得以外の収入の金額(預金利息や配当などは事業用の通帳に入金されますが、事業主借勘定を使います。)


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