含み損がある土地等を売却し、利益を小さくする

含み損がある土地等を売却できれば、売却した期は利益が少なくなりますので、株価対策になります。
含み損がある土地等を売却し、利益を小さくする

目次

1.土地等の適正な時価とは

会社が所有する土地、借地権等を同族会社や関連会社以外の第三者に売却するときは、特別な条件は何もありませんから、通常の実勢価額としての時価で売買取引が行われますからまず問題はありません。

しかし、同族会社間などでの取引きについては恣意的になりやすくなりますから問題が起きることがあります。

そこで土地等の売買契約にあたっては「適正な時価」を算定しなければなりません。


1-1.地価公示価格を基準とする時価

売買の予定地の評価をする方法として「公示価格」を基準に利用します。

国土交通省の土地鑑定委員会が、毎年1月1日現在の公示地の価格を3月下旬頃に官報で公示します。

この公示価格は複数の取引事例を中心に決められていますからもっとも時価に近いものになっています。

ただし、この価格はあくまで目安ですから対象地の条件や売買時期などの修正を加えて算定しなければなりません。

地価の公示標準地(公示地)に比しての地形、利用状況、近隣地域の現況、道路等の公共施設、交通状況、都市計画法等の法令の制限などを勘案して判断することになります。


1-2.都道府県地価調査標準価格を補完的に利用する

この都道府県地価調査基準地が地価公示地の不足地点と調査時点を補うものとして設けられています。

都道府県基準地価格は毎年7月1日の価格とし、9月下旬に公報で発表されます。

評価方法は公示価格とまったく同じ方法で行われますから補完的に利用されています。

また、都市計画区域外の町村にも設けられています。

さらに、調査時期が公示価格と違いますから公示価格と同地点を何カ所か設定し、価格の変動を示すようにしています。この変動価格(変動率)を参考にして公示価格の時点修正を行うことも可能になります。


1-3.路線価方式を利用する時価

相続税の評価額は、公示価格水準のおおむね80%の価格水準で設定するようになっています。

土地の相続税評価額の計算基礎になる数字は「路線価図」として道路のすべてに価格を設定しています。

これは全国の市街地のほとんどの地域についてつくられ、管轄の税務署に備えつけてあり、閲覧することができます。国税庁のウェブサイトでも確認することができます。

そして、公示地の所在しない路線については、公示地を比準して路線価をつけています。よって、評価しようとする土地の路線価を0.8で除すると、その土地の公示価格水準の地価が計算されることになります。

さらに地形によって評価が違ってきますから、相続税の「財産評価基本通達の付表」を使って修正を加えることになります。


2.同族法人への譲渡

会社の本社ビルの土地建物を同族会社または子会社等に売却して譲渡損失を計上し、同時に本社ビルを賃借した場合の譲渡損失ははたして認められるのでしょうか。

会社が所有する賃貸ビル、マンション、貸店舗、貸家等を同族会社間などへ売却し、購入した会社が同じく賃貸しているようなケース(賃貸人が変わったのみの売り離し)での譲渡損失は認められますが、本社ビル等で含み損のある不動産のみを譲渡し、そのまま賃借するような状態は実態的には変化せず、単に譲渡損失を計上するための売買と考えられてしまいます。

よって、同族会社の行為または計算の否認が適用される可能性が大きいといえるでしょう。

ただし含み益もある複数の不動産も含めて不動産管理会社が一括して所有するためのものであるなどの合理的な理由があれば、単に損失を生じさせるためのみではないので譲渡損益を合算して認められると考えられます。

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