消費税の確定申告期限を1か月延長することができるようになりました
令和2年度消費税改正により消費税の確定申告期限を1か月延長することができるようになりました。
今まで法人税の世界では申請すれば申告期限の延長が認められていました。
例えば3月決算法人の法人税の申告期限は5月末ですが、申請すればこれが6月の末まで延長されます。消費税には申告期限の延長の制度がなかったため、消費税は5月末、法人税は6月末という申告期限となっていました。
なぜ法人税の申告期限が延びているかというと、会社の決算組むとなると引当金計上したりいろんな評価損や減耗損などを計上したり、減価償却したり税額控除のために大量の資料を集める必要があり、とにかく手間がかかります。2か月だと法人税申告書完成させるまで時間が足りず、さらに監査が入るとなるととてもではないが時間がないということで法人税の申告期限は延長することができます。
ところが消費税の計算は基本的には債権・債務・売上・仕入が確定すれば自動的に計算ができます。消費税を計算する場合に引当金の計上とか税額控除は関係ありません。ですから消費税の申告期限は延長されていませんでした。
ただし非常に問題となるのが外部監査が入るような大規模法人の場合です。
監査法人が売掛金、買掛金の突合を取引先に行います。そうすると会社の残高と取引先の残高がずれてるようなケースがどうしても出てきてきます。法人税の申告期限は延長できるので申告期限を延長していれば申告期限に間に合います。
申告期限が延長できない消費税を2か月以内に税務申告するとなると、消費税の申告を決算から2か月以内に行った後に売掛金、買掛金がずれてくると修正申告や更正の請求を行う必要があり、これが現実問題として困っていました。
そこで経済産業省と経団連が消費税も延長して欲しいと要望し、消費税についても申告期限が延長されることになりました。
消費税の申告期限の延長で、気をつけてもらいたいのが法人税の申告期限が延長されているからといって自動延長にはならないということです。
消費税の申告期限の延長を受けるためには、消費税申告期限延長届出書を提出しなければなりません。
法人税の申告期限が延長されていない場合には消費税は延長絶対にできません。
法人税の申告期限が延長されていることを前提に消費税の申告期限延長の届出を出している場合に限り延長することができます。
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shohi/annai/pdf/0020003-179_01.pdf
消費税の申告期限の延長制度は具体的にいつから適用されるのか
消費税申告期限延長申請届出書の効力発生時期ですが、届出書の提出日の属する事業年度以後の各事業年度の末日の属する課税期間に係る確定申告期限から1か月延長になります。
非常にわかりにくい表現となっていますが、これは消費税は課税期間の短縮制度があり、1か月とか3か月に短縮することができます。当たり前ですが消費税の申告期限が延長されるのは一番最後の課税期間部分だけです。短縮してあるときに短縮してある期間全部延長になるわけではありません。つまり計算日の属する課税期間だけが1か月延長になります。
例えば令和3年3月決算法人が課税期間を3カ月に短縮している場合、4-6月、7-9月、10-12月、1-3月と区切ります。この場合には4-6月、7-9月、10-12月は今までと同じように2か月以内の申告期限となります。
決算日である令和3年3月31日の属する課税期間だけが1か月伸びて6月末なります。
個人事業者が消費税課税期間短縮してる場合と同じようなイメージとなります。個人事業者の消費税の確定申告期限は翌年の3月末までとなっています。個人事業者の確定申告期限は12月31日大晦日を含む課税期間分だけが延長されています。
消費税申告期限延長の届け出の効力発生時期
消費税申告書の提出期限は「消費税申告期限延長届出書」を提出した日の属する事業年度以後の各事業年度の末尾の属する課税期間に係る確定申告期限が1か月延長されることになります。この改正法は令和3年3月31日以後に終了する事業年度の末日の属する課税期間から適用されますので、令和3年3月決算期から1か月消費税の申告期限を延長することができます。法人税延長している会社は原則全部消費税も延長することをおすすめいたします。