株式交換の具体的手続~契約の締結から事前開示まで
平成11年商法改正及び税法改正により、持株会社への株式移転の方法として、株式交換の活用が選択肢に追加されました。株式交換契約の締結から事前開示までを解説いたします。
目次
1.株式交換の具体的手続き
株式交換手続は、株式交換契約の締結に始まり、効力発生日後6ヶ月間の事後開示で終わる一連の行為からなる複雑な手続きです。
多くの利害関係者が関与することになり、各手続きの瑕疵は株式交換無効の要因となるため、株式交換手続の実行に当たっては、最新の注意が必要です。
2.株式交換契約の締結
株式交換に当たっては、当事会社は株式交換契約を締結しなければなりません(会767)。
株式交換契約の締結は重要な業務執行に当たるのが通常ですので、取締役会設置会社においては取締役会決議(下記ポイント参照)が必要となります。
各当事会社においては、取締役会決議を経て、代表取締役が株式交換契約を締結します。
ただし、委員会設置会社が簡易株式交換や略式組織再編を実施す
る場合は、取締役会決議により、株式交換契約の内容の決定について執行役に委任することができます。
ポイント
取締役会設置会社以外の会社では取締役の過半数による決定(会348②)が必要であり、委員会設置会社では取締役会決議が求められており、執行役への委任はできませんので、ご注意ください。
3.事前開示
株式交換は当事会社の株主及び債権者に重大な影響を与えることから、株主及び債権者の判断に資するため、所定の書類を事前に開示することが要求されています。
株式交換の場合、株式交換完全子会社は株式交換契約備置開始日から、株式交換の効力発生日後6ヶ月を経過する日までの間、株式交換契約の内容その他法務省令で定める事項を記載した書面又は
電磁的記録を本店に備え置くことが求められています。
株式交換完全親会社の場合も、株式交換契約備置開始日から、効力発生日後6ヶ月を経過する日までの間、同様の開示が求められています。