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年の途中で出国する場合の確定申告 個人事業の申告・納税の節税


【目次】

1.年の途中で出国する場合の確定申告

国外に居住することとなった個人が、継続して1年以上国外に居住することを必要とする職業を有する場合、出国の日の翌日から「非居住者」として取り扱われます。

この場合、所得税はその年の1月1日から出国日まで(以下、「居住者期間中」といいます。)の所得と、出国日後(以下、「非居住者期間中」といいます。)の日本国内から生じる一定の「国内源泉所得」に対して課税されます。

非居住者の確定申告は納税管理人を定めて行うことになりますが、具体的には納税管理人を出国時までに定め、税務署長に届け出た場合とそれ以外の場合では、申告方法が異なります。

なお、給与所得者の場合、その年の居住者期間中の給与所得については、給与の支払者(源泉徴収義務者)が出国時に年末調整することとなっています。


2.確定申告書を提出すべき者等が出国する場合

2-1.出国の時までに納税管理人を定めずに出国する場合

その年の居住者期間中の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額について所得税法の規定に従って、出国の時までに確定申告書を提出する必要があります。

更に、出国後は非居住者に該当しますので、出国後の非居住者期間中の国内源泉所得と、出国の際に申告した居住者期間中のすべての所得を合算したところで税額計算を行い、翌年3月15日までに申告と納付を行わなければならないことになります。

つまり、二度の申告が必要となります。

この場合、出国時に行った確定申告に係る納税額は予定納税額として納付すべき税額から控除します。


2-2.出国の時までに「納税管理人」を定め税務署長に届け出た場合

その年分に係る居住者期間中のすべての所得と非居住者期間中の国内源泉所得を合計したところで、一般の確定申告と同様、翌年の3月15日までに納税管理人を通じて申告及び納付をすることとなります。


3.確定申告書の提出義務のない人(損失申告、還付申告)

出国の時の現況において、確定申告書を提出することができます。

(注)その年の居住者期間中に生じた純損失や雑損失及びこれらの損失の繰越控除金額を有する場合を含みます。

また、一般の場合と同様翌年の3月15日までに提出することもできます。

(注)不動産所得の場合、非居住者期間中の賃貸料には所得税として賃貸料の20%が源泉徴収されますが、賃借人が自己等の居住用としている時は、源泉徴収の規定はありません。

また、売却の場合には、所得税として売却金額の10%が源泉徴収されますが、賃借人が自己の居住用として購入する場合で、かつ、売却金額が1億円以下の場合は源泉徴収の規定はありません。

居住者期間中の所得がその会社から支給された給与以外になかったと仮定した場合、その給与については会社が年末調整することは、先にご説明したとおりですので、出国時の確定申告は必要ありません。

しかし、出国日後に発生する不動産所得については、居住者期間の給与所得と合算した上で、翌年3月15日までに申告することとなります。

いずれにしても、出国後の確定申告や納付等、国税に関する事務を処理する「納税管理人」を定め、納税地の税務署長に届け出ておく必要があります。

その後の年については、納税管理人を通じて確定申告することになりますが、所得税法の規定に従って確定申告義務の有無を検討した結果、申告義務が生じなければ、確定申告は必要ないことになります。

ただし、源泉徴収の対象とされた賃貸料については、確定申告をすることによって還付を受けることもできます。

また、自宅を売却した場合、
①出国時までの売却(居住者期間中)
②出国後の売却(非居住者期間中)

とでは確定申告書の提出時期が異なります。


3-1.出国時までの売却の場合

イ 出国の時までに「納税管理人」を定め、届け出た場合

その年の翌年の3月15日までに「納税管理人」を通じて居住者期間中の所得(出国時までの給与所得と譲渡所得)を申告することになります。

口 出国の時までに「納税管理人」を定めなかった場合

出国時までにその年の居住者期間中の所得(出国時までの給与所得と譲渡所得)について申告することになります。


3-2.出国後の売却の場合

イ 売却が、非居住者となった同一年である場合、納税管理人を通じて譲渡所得が生じた翌年に確定申告することになります

この場合、居住者期間中の所得絲合与所得)と非居住者期間中の所得(譲渡所得)とを合算し所得税法の規定に従って課税標準及び税額を計算し、申告及び納付(還付される)することになります。

口 売却が非居住者となった年の翌年以降の場合、納税管理人を通じて該当する年分の確定申告をすることとなります。

(注)非居住者の確定申告は、所得税法の規定に従って課税標準及び税額計算を行いますが、所得控除については雑損控除、寄附金控除(居住者及び非居住者期間を通じ対象となります)及び基礎控除のみが所得控除金額の対象となります。

非居住期間と居住期間が混在している居住者あるいは非居住者の確定申告において控除できる所得控除は、(医療費・社会保険料小規模企業共済等掛金・生命保険料・地震保険料までの各控除)、居住者期間中に支払われたものが、また、障害者・寡婦・配偶者・扶養)までの人的控除は、出国時の現況で適用できます。

なお、出国時までに納税管理人を届け出た場合、障害者・寡婦・配偶者・扶養控除までの規定は、その年の12月31日現在で判定してもよいことになっています。

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