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親族に支払う利子を必要経費に算入する 個人事業の必要経費を利用した節税
【目次】
1. 親族に支払う利子を必要経費に算入する
親族からお金を借りた場合、その借入金利子が必要経費になるかどうかは、その親族と生計を一にするかどうかによって決まります。
1-1.その親族と生計を一にする場合
事業所得の必要経費は、事業所得の総収入金額を得るため直接要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他事業所得を生ずべき業務について生じた費用の額とされていますので、事業の運転資金を金融機関等から借り入れた場合の借入金利子は必要経費になります。
しかし、生計を一にする親族に対して借入金利子を支払っても必要経費にはなりません。
また、その借入金利子を受け取った親族については、その利息収入は所得として扱われません。
つまり、実際に利子の受け払いがあったとしても、税務上はないものとして扱われるのです。
ただし、その親族が銀行等の第三者からお金を借りてきて、それを貸し付けた場合には、その第三者に支払う利子については必要経費に算入することができます。
1-2.その親族と生計を一にしていない場合
生計を一にしていない親族に対して借入金利子を支払った場合には、その借入金利子は必要経費になります。
また、その借入金利子を受け取った親族については、その利息収入は雑所得になり、税金がかかることになります。
もっともその親族に他の所得がない場合には、まず税金がかかることはないでしょう。
また、その親族がサラリーマンであり、利子の金額が年間20万円以内であれば、申告の必要はありません。
2. 業務の遂行に関係のない借入金の利子は必要経費にならない
所得税の場合、借入金の利子が、業務上の必要経費となるかどうかは、その借入金の使途と密接な関係があります。
例えば、事業経営上、棚卸資産の取得、従業員に対する賞与の支払等のいわゆる運転資金として借り入れた借入金の利子は事業所得の必要経費になりますが、その納税者の子供を大学に入学させるために借り入れた借入金の利子は家事費であり、必要経費とはなりません。
借入金利子を必要経費に算入することが認められなかった事例は下記のとおりです。
①事業に関係のない保証をして、保証債務を履行したため営業資金が欠乏したので借入れを行い、これを営業資金に充てた場合の利子は、営業資金の枯渇をもたらしたそもそもの原因が、営業と無関係な個人保証債務の履行に流用したためであるから、借入れは実質的にみて保証債務の履行のためになされたものと解すべきであり、事業所得の必要経費には当たらないとされた事例。
②所得税及び事業税を支払うために借り入れた借入金の利子は、総収入金額を得るために必要なものといえず、必要経費とならないとされた事例。
③不動産賃貸業を営む納税者の借り入れた金員であって、他に転貸され、その業務の用に供されていない場合には、その借入金利子を不動産所得の必要経費に算入することはできないとされた事例。
④借入れは納税者の長男の大学入試に関連してなされたもので、業務の遂行上通常必要な経費の借入れではないから、その支払利息は必要経費に当たらないとされた事例。
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