トップ>節税の教科書(個人)> 広告宣伝用資産の受贈益、棚卸資産の低額譲渡、債務免除益

広告宣伝用資産の受贈益、棚卸資産の低額譲渡、債務免除益 個人事業の売上・仕入関係を利用した節税


【目次】

1.広告宣伝用資産の受贈益

販売業者等が製造業者等から次の①から③のような広告宣伝用の資産を無償又はその資産の価額に満たない対価で取得した場合には、その資産の価額の3分の2に相当する金額から購入価額を控除した残額を経済的利益の額として、事業所得の総収入金額に算入しなければなりません。

しかし、この残額が30万円以下であるときは、経済的利益の額はないも
のとして取り扱われることになっています。

①白動車で車体の大部分に一定の色彩を塗装して製造業者等の製品名又は社名を表示し、その広告宣伝を目的としていることが明らかなもの

②陳列棚、陳列ケース、冷蔵庫又は容器で製造業者等の製品名又は社名の広告宣伝を目的としていることが明らかなもの

③展示用モデルハウスのように製造業者等の製品の見本であることが明らかなもの

ただし、広告宣伝用の看板、ネオンサイン、どん帳のように専ら広告宣伝
の用に供される資産は、上記の対象にされていませんので、これらの資産の取得による経済的利益の額は、事業所得の金額の計算上総収入金額に算入する必要はありません。

例えばある小売業者が、ある製造業者からその製品の銘柄とシンボルカラーを車体の荷台全部に塗装した軽四輪車を35万円で購入し、この軽四輪車をその製造業者が購入した価額が60万円だった場合ですが、軽四輪車は上記①の自動車に該当しますから、経済的利益の金額を計算しますと次のようになります。

60万円×2/3-35万円=5万円≦ 30万円

したがって、小売業者が軽四輪車を製造業者から低廉な価額で購入したことに伴う経済的利益の金額は30万円以下になりますから、事業所得の金額に算入すべき経済的利益の額はありません。

なお、軽四輪車は取得価額35万円(経済的利益として課税される金額があるときは、その経済的利益の額を加算します。)として、減価償却資産に計上して減価償却費の計算をすることになります。

2.棚卸資産の低額譲渡

商品を著しく低い価額で売却した場合には、原則として通常の販売価額との差額(実質的に贈与したものとみられる金額)を事業所得の総収入金額に算入しなければならないことになっています。

この著しく低い価額で売却した場合とは、自家消費の場合と同様に通常の販売価額のおおむね70%未満の価額で売却した場合をいい、実質的に贈与したものとみられる金額は、通常の販売価額のおおむね70%と売却価額との差額として差し支えないことになっています。

例えば、ある自動車販売店が弟に小売価額20万円のオートバイを10万円で売却した場合、 4万円を総収入金額に含めなければなりませんから、結局14万円で売却したことになります。

20万円(通常の販売価額) X 70%= 14万円
14万円-10万円= 4万円

3.債務免除益

各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額は、金銭による収入だけでなく、金銭以外の物や権利その他経済的な利益による収入も含まれることになっています。

金銭以外の収入には、買掛金その他の債務の免除を受けた場合におけるその免除を受けた金額に相当する利益にの利益を一般的に「債務免除益」といいます。)も含まれます。

例えば、ある小売店が仕入先への代金支払いが苦しくなり、支払うべき買掛金を免除してもらった場合、買掛金の支払免除に相当する部分の金額は、支払免除をしてもらった日の属する年分の事業所得の金額の計算上総収入金額に含めることになります。

ただし、債務者が資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難であると認められる場合にその債務者の受けた債務免除益については、一部を除いて収入金額としない特別な取扱いがあります。
【関連するこちらのページもどうぞ。】

【業務に関するご相談がございましたら、お気軽にご連絡ください。】

03-6454-4223
電話受付時間 (日祝日は除く)
平日 9:00~21:00
土曜日9:00~18:30

info@suztax.com
24時間受付中